湖国探遊記

滋賀の歴史や文化を中心に、たまにそれ以外も

三井寺に行くなら見ておきたい延暦寺との対立を物語る伝説の跡

三井寺は滋賀を代表する古刹だけあり、実に様々な伝説を有しています。 それらは得てして真実とまでは言えないものの、全くのでたらめとも言い切れません。 つまり、それらの伝説は何かしらの契機があったからこそ生み出されたと考えられるのです。 そんな伝…

沙沙貴神社の御祭神は佐々木一族の歴史をどう表しているのか?

安土城の最寄り駅でもある安土駅から徒歩で15分ほど行くと、それは立派な楼門や社殿が立ち並ぶ沙沙貴神社があります。 流石は全国の佐々木さん達の崇敬を集める神社らしい、どっしりとした佇まいです。 そんな沙沙貴神社には、次の四座五柱の神様が御祭神と…

滋賀の歴史に戦が多いのは全県を統一する権力者が育たない複雑な権力構造が一因か?

今でこそ滋賀県はのどかで落ち着いていますが、その歴史を見るとかなり血生臭く感じます。 壬申の乱、治承・寿永の乱、姉川の合戦など、日本の行く末をも左右する大戦の舞台となることが実に多いように思えるのです。 その理由の1つとして、まず挙げられるの…

最澄の学者肌に空海のカリスマ性という対照的な二人の違いとその影響

最澄と空海、どちらが有名かと言うとおそらく空海の方でしょう。 空海あるいは弘法大師ゆかりの何某、その様な数多くの伝説が全国各地に残されていることからも認知度の高さが表れています。 一方で最澄の伝説はと言うと、空海ほどには出会いません。 それに…

浅井氏の歴史を学び始めて思う下剋上の在り方や当時の受け止め方の不思議さ

下剋上と言うと、主君など名上の人を強引に押しのけてのし上がる戦国時代を象徴する言葉として扱われたりします。 特に主君を殺害して取って代わる様な、かなり物騒な印象があるかもしれません。 私自身その様な感じに思っていたのですが、浅井氏の歴史を見…

歴史的な場所は現場に行くことも肝心と思う理由

ネットを通じて様々なことを知れる現代では、直接その場所へと行く意味をあまり感じないことが増えているかもしれません。 遠くの名産品もお取り寄せできますし、ストリートビューなどを使えば様々な街並みも見ることが出来ます。 しかしながら、歴史的な場…

お酒は文化や科学や自然環境と様々な側面で語れて面白い

お酒は実に面白い創作物です。 その歴史は古く、世界的には数千年も前から作られ飲まれてきました。 日本でも、古事記に書かれた「八塩折之酒」などが古い記録として有名です。 それほどまでに長い歴史があるお酒なので、造られる国ごとに個性的な酒の歴史や…

踊る埴輪や残虐な織田信長などの歴史を学ぶ上で厄介な強すぎる物語性

歴史について語ったり学んだりする時、得てして何らかの解釈をもってしまうのが人の性です。 つまり、広く流布している説や見方などの影響を受けていることが多いかと思います。 例えば左右の手を上げ下げしたひょうきんな埴輪は、踊っている様にも見えるこ…

滋賀の旅行で目的地にたどり着く最後の一手はレンタサイクルが一番いいのかも

滋賀の旅行なら、交通手段はやはり車かタクシーが一番困ることなく効率よく回れるでしょう。 自分の県なのですが、滋賀の公共交通の事情は流石に自慢できるものではありません。 まず鉄道は、琵琶湖を囲う様にJRが一周し、草津線や近江鉄道、信楽高原鐵道、…

金剛輪寺の別名や愛荘町の地名に残る依知秦氏の名残りについて

金剛輪寺と言えば、湖東三山のお寺として有名で秋の紅葉の時期は多くの人で賑わいます。 また、名前の由来と関連するので天台密教の道場としての歴史も通な人にはよく知られているかもしれません。 しかし、今回話題の中心はもう1つの名前である松尾寺の方に…

滋賀、多賀、甲賀と並べると余計にややこしい甲賀の読み方の問題

甲賀は何と読むのかご存じでしょうか? おそらく、「こうが」と呼んでしまう方が多いかもしれません。 滋賀は「しが」、多賀は「たが」など、引っ張られる読み方も多いので余計でしょう。 しかし、元々は「こうか」であり、実はこちらが甲賀市などで使われる…

日本の文化財建造物は使い回されるし移動もするので歴史を知ると面白い

日本の歴史的な建造物は、よく使い回されてきました。 あの寺は元々あそこにあったものだとか、あの門は元々は何とか城のものだったとか、実に様々な建造物が使い回され移動しています。 これは日本文化の大きな特徴で、極めて古くからそうしたことが行われ…

祭りの在り方を変えたりした明治に変わった暦による影響

明治の近代化や文明開化は、日本文化に様々な影響を与えました。 この影響を挙げ始めれば最早きりがない程で、どこがどう変わったかを解明する以前に、そもそも変化を認識できないことすらあります。 変わってしまった文化が、今や馴染み過ぎているのです。 …

実に不思議な紫香楽宮とそこから感じる聖武天皇の仏教への思い

信楽は中心地よりもかなり奥まった所にある、正に山間の田舎町です。 かつては焼き物の産地として賑わっていたそうですが、今はだいぶ落ち着いています。 そんな今は焼き物の里として有名な信楽ですが、かつてここに紫香楽宮という都が築かれた時期がありま…

琵琶湖が琵琶の形に似ているという由来はよくよく考えると謎、どこから見たん?

琵琶湖という名前の由来について、最も有名なのが琵琶の形に似ているという説でしょう。 しかし、これはよくよく考えるとすごく不思議に思えます。 なぜなら、琵琶湖は大きすぎてまず全体像がよく分からないからです。 おそらくですが、滋賀のどの山に登って…

様々な価値基準がある仏像の博物館で感じる評価の偏りとその克服

仏像の価値基準は、こういうものだというのがありそうでない悩ましいものです。 つまり様々な評価が出来るのですが、特に博物館ではそれなりに偏っているように思えます。 例えば博物館に展示していれば、その説明文に書かれていることはどうして作られたか…

近江鉄道の1デイスマイルチケットはお得さが凄い。JRを多用するよりも安くなることも

滋賀を旅する際に、近江鉄道のことを思い浮かべない方も多いかもしれません。 しかし、近江鉄道が最寄り駅となる観光地もありますし、何よりお得な切符も用意されています。 その中でも使い勝手が良いのが、1デイスマイルチケットです。 この切符は金、土、…

滋賀の歴史や文化は何処で学べるか?公開講座がある博物館について

滋賀に限らず歴史や文化を独学だけで進めようとしても、まず限界が訪れます。 やはり、誰かから直接教えてもらえるのが一番の方法でしょう。 そんな時に助かるのが、博物館等で一般向けに開催されている公開講座です。 しかし、それらは知らないと中々見つけ…

滋賀を巡っていても廃仏毀釈の影響を今もよく見かけることについて

明治より始まる日本の近代化は、文明開化など日本が豊かになっていく良い印象を持たれることが多いかもしれません。 しかし、それまであった日本文化にとっては試練の時代でもありました。 むしろ、今現在見聞きする日本文化はこの頃に定式化されたものが少…

寺伝や社伝などの伝承はどの程度信用できるのかという問題について

歴史などを学びながら色々と巡っていると、寺伝や社伝などの伝承の扱いをどうしようかと思ってしまいます。 これらは事実とするには難しいものもあり、かと言って全く無視するのも出来ない存在なのです。 結論から言うと、大体次の通りにしています。 大前提…

行ったら見てしまう神社の歴史を語るあれやこれ

神社へ行くと直接行ったからこそ見つけられる、あるいは確認できることがいくつかあります。 中でも神社の歴史や文化、意外な人との繋がりなどは、例えば次の所を見るとうかがい知ることが出来るでしょう。 神社の歴史を記した案内板 扁額や石柱、灯篭、狛犬…

石山寺や多賀大社など近江に残る平城京や南都とのつながりについて

滋賀、昔の名で言うなら近江は道の国と言われるだけに様々な地域の影響を受けてきました。 そのため、近江の歴史や文化にはそれらの痕跡が今に残ります。 また、その時代と共に積み重なった影響を紐解いていくと、より広範な日本文化や歴史にも繋がる面白さ…

考古学ほどままならないことが多い学問はないのではと思う今日この頃

私は考古学の専門家では全くないのですが、はたから見ているとえらく難儀なことをしているなと考古学ほど思うものはありません。 特に分からないことが結局分からないままになりがちなのが、大変そうに思えます。 石器一つとっても本当に加工されたものなの…

春日大社の鹿達は東海道を歩いてきた?立木神社の神話に思うこと

武甕槌命の御霊を背に乗せた白鹿に伴い、鹿島神宮から鹿達が春日大社にやってきた。 そんな神話が、春日大社の創建神話として今に伝わっています。 神話なので鹿達がどの様に来たのかは分かりかねますが、例えば空をぴゅーっと飛んできたなんて想像されるか…

延暦寺の歴史を知ると浮かぶ都の鬼門封じは本当に最初からだったのかという疑問

延暦寺と平安京との関係を説明する時に出てくるのが、都の鬼門封じという話です。 私も昔からよく聞いていたので、余り何も考えず受け入れていました。 しかし、延暦寺の歴史を学んでからこの説を検討してみるとかなり奇妙なのです。 結論から言うと、都の鬼…

安土城ほど伝説が先行し過ぎて実態が分かっていない城はない?

安土城は信長の居城として、やはり日本でも指折りの城かと思います。 非常に豪華な天守閣や近世城郭の先駆けなどなど、象徴的な物語を持っているのです。 そうしたことから、安土城は伝説的な城として語られることが多いような気がします。 しかし、その名に…

滋賀では川を中心に展開された歴史も非常に重要

滋賀ではやはり琵琶湖が目立つので、どうしてもそこを中心とした歴史に目が行きがちです。 しかし、滋賀には多くの川が流れておりそれもまた滋賀の歴史を語る上で非常に重要になります。 例えば甲賀市を流れる杣川は、地味ですが滋賀の宗教史に関わる絶妙な…

滋賀県でJR東海道本線はほとんど中山道を通ることに混乱する件について

JR東海道本線は、東海道を走るから東海道本線。 そんな当たり前が大きく崩れてしまうのが、滋賀県を通る東海道本線です。 実際、滋賀県で東海道本線が東海道沿いを走るのは山科から草津までで、琵琶湖のしっぽの先端をなでるだけになっています。 そのため、…

歴史的な事件も名前で印象が変わることを本能寺の変にて思う

「本能寺の変」と言えば、明智光秀が主君の織田信長に反旗を翻して本能寺を襲撃した事件として有名です。 しかし、これは考えてみればかなり極端な見方をしています。 あるいは、ほんの一部分だけを取り上げすぎているとも言えるかもしれません。 なぜなら、…

烏帽子を人前で外すことは賭けに負けても最後まで死守する程に恥ずかしかったらしい

最近、鎌倉殿の13人にて平知康が鞠を受け取りそこなって井戸に落ちてしまい、助けようとした源頼家も巻き込まれてしまう、ややコントの様な一場面がありました。 この場面だけでも面白いのですが、凄く細かいと思うのが救われた後に平知康が必死で頭を隠して…