湖国探遊記

滋賀の歴史や文化を中心に、たまにそれ以外も

滋賀、多賀、甲賀と並べると余計にややこしい甲賀の読み方の問題

甲賀は何と読むのかご存じでしょうか?

おそらく、「こうが」と呼んでしまう方が多いかもしれません。

滋賀は「しが」、多賀は「たが」など、引っ張られる読み方も多いので余計でしょう。

しかし、元々は「こうか」であり、実はこちらが甲賀市などで使われる正式な読み方なのです。

 

実際、平成16年に5町が合併し甲賀市が発足した際に一般公募し合併協議会で決められたもので、公的な機関では基本的にこの読み方が採用されました。

他にも「甲賀コーラ(こうか コーラ)」という、中々なご当地飲料まであります。

ちなみに、ちゃんとコカ・コーラ社から許可を得ているそうです。

 

また、何故「こうか」と読むのかの代表的な理由として古代にこの辺りを治めた鹿深(かふか)氏に由来することが挙げられます。

確かに、滋賀ではこうした古代氏族名が地名などに残る例は非常に多くあるのです。

例えば小槻氏は小槻大社、犬上氏は犬上郡、佐々貴山氏は沙沙貴神社などが挙げられ、合併により消えてしまった地名もあるので本当に沢山あります。

 

ただ、かと言って鹿深が確かな話かは分かりません。

古代のことになると、関係性を辿るのが非常に面倒なことになるのです。

もちろん、古くからの読み方が「こうか」であることには間違いないでしょう。

 

さらに、古い名称では呼び方が先にあり表記が後付けされるので「鹿深」が「甲賀」になったり、「かふか」が「こうか」になったりするのです。

特に漢字の表記は、昔のものほど当て字なので字自体の意味に頓着していなかったりするのです。

 

「かふか」も昔の表記なので「かふか」と読むのではなく、「こうか」と読むとされます。

古文風に解説するなら、まず先頭以外の「ふ」は「う」と読むので「かうか」、「au」は「ou」と変化するので「こうか」となるのです。

 

この様に伝統ある読み方なのですが、「こうが」読みも実際かなり増えています。

それこそ、一般公募されることからも察せられるでしょう。

むしろ、こちらの読み方が最早一般的になっているかもしれません。

 

一方で、昔からの呼び方を残すのも歴史好きとしてはありがたく思います。

昔の地名が欠片も残っていないので現在地がどこか推定できない、これが非常に困るのです。

なので、そういう昔の呼び方が生き残れるよう大切にしたいです。