湖国探遊記

滋賀の歴史や文化を中心に、たまにそれ以外も

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

金剛輪寺の別名や愛荘町の地名に残る依知秦氏の名残りについて

金剛輪寺と言えば、湖東三山のお寺として有名で秋の紅葉の時期は多くの人で賑わいます。 また、名前の由来と関連するので天台密教の道場としての歴史も通な人にはよく知られているかもしれません。 しかし、今回話題の中心はもう1つの名前である松尾寺の方に…

滋賀、多賀、甲賀と並べると余計にややこしい甲賀の読み方の問題

甲賀は何と読むのかご存じでしょうか? おそらく、「こうが」と呼んでしまう方が多いかもしれません。 滋賀は「しが」、多賀は「たが」など、引っ張られる読み方も多いので余計でしょう。 しかし、元々は「こうか」であり、実はこちらが甲賀市などで使われる…

日本の文化財建造物は使い回されるし移動もするので歴史を知ると面白い

日本の歴史的な建造物は、よく使い回されてきました。 あの寺は元々あそこにあったものだとか、あの門は元々は何とか城のものだったとか、実に様々な建造物が使い回され移動しています。 これは日本文化の大きな特徴で、極めて古くからそうしたことが行われ…

祭りの在り方を変えたりした明治に変わった暦による影響

明治の近代化や文明開化は、日本文化に様々な影響を与えました。 この影響を挙げ始めれば最早きりがない程で、どこがどう変わったかを解明する以前に、そもそも変化を認識できないことすらあります。 変わってしまった文化が、今や馴染み過ぎているのです。 …

実に不思議な紫香楽宮とそこから感じる聖武天皇の仏教への思い

信楽は中心地よりもかなり奥まった所にある、正に山間の田舎町です。 かつては焼き物の産地として賑わっていたそうですが、今はだいぶ落ち着いています。 そんな今は焼き物の里として有名な信楽ですが、かつてここに紫香楽宮という都が築かれた時期がありま…

琵琶湖が琵琶の形に似ているという由来はよくよく考えると謎、どこから見たん?

琵琶湖という名前の由来について、最も有名なのが琵琶の形に似ているという説でしょう。 しかし、これはよくよく考えるとすごく不思議に思えます。 なぜなら、琵琶湖は大きすぎてまず全体像がよく分からないからです。 おそらくですが、滋賀のどの山に登って…

様々な価値基準がある仏像の博物館で感じる評価の偏りとその克服

仏像の価値基準は、こういうものだというのがありそうでない悩ましいものです。 つまり様々な評価が出来るのですが、特に博物館ではそれなりに偏っているように思えます。 例えば博物館に展示していれば、その説明文に書かれていることはどうして作られたか…

近江鉄道の1デイスマイルチケットはお得さが凄い。JRを多用するよりも安くなることも

滋賀を旅する際に、近江鉄道のことを思い浮かべない方も多いかもしれません。 しかし、近江鉄道が最寄り駅となる観光地もありますし、何よりお得な切符も用意されています。 その中でも使い勝手が良いのが、1デイスマイルチケットです。 この切符は金、土、…

滋賀の歴史や文化は何処で学べるか?公開講座がある博物館について

滋賀に限らず歴史や文化を独学だけで進めようとしても、まず限界が訪れます。 やはり、誰かから直接教えてもらえるのが一番の方法でしょう。 そんな時に助かるのが、博物館等で一般向けに開催されている公開講座です。 しかし、それらは知らないと中々見つけ…

滋賀を巡っていても廃仏毀釈の影響を今もよく見かけることについて

明治より始まる日本の近代化は、文明開化など日本が豊かになっていく良い印象を持たれることが多いかもしれません。 しかし、それまであった日本文化にとっては試練の時代でもありました。 むしろ、今現在見聞きする日本文化はこの頃に定式化されたものが少…

寺伝や社伝などの伝承はどの程度信用できるのかという問題について

歴史などを学びながら色々と巡っていると、寺伝や社伝などの伝承の扱いをどうしようかと思ってしまいます。 これらは事実とするには難しいものもあり、かと言って全く無視するのも出来ない存在なのです。 結論から言うと、大体次の通りにしています。 大前提…

行ったら見てしまう神社の歴史を語るあれやこれ

神社へ行くと直接行ったからこそ見つけられる、あるいは確認できることがいくつかあります。 中でも神社の歴史や文化、意外な人との繋がりなどは、例えば次の所を見るとうかがい知ることが出来るでしょう。 神社の歴史を記した案内板 扁額や石柱、灯篭、狛犬…

石山寺や多賀大社など近江に残る平城京や南都とのつながりについて

滋賀、昔の名で言うなら近江は道の国と言われるだけに様々な地域の影響を受けてきました。 そのため、近江の歴史や文化にはそれらの痕跡が今に残ります。 また、その時代と共に積み重なった影響を紐解いていくと、より広範な日本文化や歴史にも繋がる面白さ…

考古学ほどままならないことが多い学問はないのではと思う今日この頃

私は考古学の専門家では全くないのですが、はたから見ているとえらく難儀なことをしているなと考古学ほど思うものはありません。 特に分からないことが結局分からないままになりがちなのが、大変そうに思えます。 石器一つとっても本当に加工されたものなの…

春日大社の鹿達は東海道を歩いてきた?立木神社の神話に思うこと

武甕槌命の御霊を背に乗せた白鹿に伴い、鹿島神宮から鹿達が春日大社にやってきた。 そんな神話が、春日大社の創建神話として今に伝わっています。 神話なので鹿達がどの様に来たのかは分かりかねますが、例えば空をぴゅーっと飛んできたなんて想像されるか…

延暦寺の歴史を知ると浮かぶ都の鬼門封じは本当に最初からだったのかという疑問

延暦寺と平安京との関係を説明する時に出てくるのが、都の鬼門封じという話です。 私も昔からよく聞いていたので、余り何も考えず受け入れていました。 しかし、延暦寺の歴史を学んでからこの説を検討してみるとかなり奇妙なのです。 結論から言うと、都の鬼…

安土城ほど伝説が先行し過ぎて実態が分かっていない城はない?

安土城は信長の居城として、やはり日本でも指折りの城かと思います。 非常に豪華な天守閣や近世城郭の先駆けなどなど、象徴的な物語を持っているのです。 そうしたことから、安土城は伝説的な城として語られることが多いような気がします。 しかし、その名に…

滋賀では川を中心に展開された歴史も非常に重要

滋賀ではやはり琵琶湖が目立つので、どうしてもそこを中心とした歴史に目が行きがちです。 しかし、滋賀には多くの川が流れておりそれもまた滋賀の歴史を語る上で非常に重要になります。 例えば甲賀市を流れる杣川は、地味ですが滋賀の宗教史に関わる絶妙な…

滋賀県でJR東海道本線はほとんど中山道を通ることに混乱する件について

JR東海道本線は、東海道を走るから東海道本線。 そんな当たり前が大きく崩れてしまうのが、滋賀県を通る東海道本線です。 実際、滋賀県で東海道本線が東海道沿いを走るのは山科から草津までで、琵琶湖のしっぽの先端をなでるだけになっています。 そのため、…

歴史的な事件も名前で印象が変わることを本能寺の変にて思う

「本能寺の変」と言えば、明智光秀が主君の織田信長に反旗を翻して本能寺を襲撃した事件として有名です。 しかし、これは考えてみればかなり極端な見方をしています。 あるいは、ほんの一部分だけを取り上げすぎているとも言えるかもしれません。 なぜなら、…

烏帽子を人前で外すことは賭けに負けても最後まで死守する程に恥ずかしかったらしい

最近、鎌倉殿の13人にて平知康が鞠を受け取りそこなって井戸に落ちてしまい、助けようとした源頼家も巻き込まれてしまう、ややコントの様な一場面がありました。 この場面だけでも面白いのですが、凄く細かいと思うのが救われた後に平知康が必死で頭を隠して…

なぜ滋賀にはのべ約1,300もの城が築かれたのか

近江、今の滋賀ではのべ数で約1,300もの城が築かれました。 この数は極めて多く、単位面積当たりの数では日本一とも言われています。 一応、数としては兵庫や岩手、福島なども千を超えると言われますが、いずれも面積が大きいので密度は低めです。 この他に…

JR琵琶湖線など滋賀県の駅には改札内にトイレが無いことがあるので要注意

おなかを壊しやすい人にとってトイレの情報は、まさに生命線です。 私自身もそうなので、知らない所に出かけた時はついトイレがどこにあるのか何はなくとも探してしまいます。 やはり確保しておくと精神的に余裕が出来て、そもそも下痢にならない対策になる…

琵琶湖が昔から海のごとく扱われているのは何故なのか

琵琶湖は、昔から海のような扱いをされます。 また、今でも滋賀県民の間では琵琶湖のことを「うみ」と呼んだりするのです。 しかし、なぜ海の様に扱われるのでしょうか? 理由の1つに、まず挙げられるのは琵琶湖が極めて大きいことかもしれません。 ただ、そ…

琵琶湖が水源となるかは高低差が鍵になるという忘れがちな当たり前の原理

滋賀県だと琵琶湖は水源として使い難かったりする、そんなまさかの話があります。 私も滋賀に長年住んできたのですが、この事実につい最近知り多変驚いたものです。 なまじ小さな頃から琵琶湖は近畿の水がめ、水がめと何度も聞いてきただけに全く想像したこ…

滋賀県の歴史的な風景は内湖が無くなったせいで分かりづらい

滋賀県のより湖に近い地域を巡っていると、昔は一体どんな風景だったのだろうかというのをよく考え込んでしまいます。 昔と今が変わっているのは当たり前と思うかもしれませんが、滋賀には極端な違いがあるのです。 その1つに内湖が無くなったことがあり、湖…

昔の寺院勢力は現実的に強大な力を持つのが今と違いすぎて理解が大変に思う今日この頃

宗教と言えば、最近だと神社にお参りしたり、葬式で経をあげてもらったりするくらいの関わりが一般的には多いかと思います。 なので、宗教の力と言っても現実的な影響力はやや想像し難くなっているかもしれません。 しかし、中世を始めとした昔の寺院勢力に…

滋賀には天台宗の様々な歴史がありややこしいので今まで知ったことのまとめ

滋賀に何故多くの文化財があるのか、その理由の1つが天台宗との関わりです。 「近江の湖は海ならず 天台薬師の池ぞかし」と詠われるなど、滋賀と天台宗は切っても切れない関係にあります。 そんな大切な関係を、次の3つの項目に整理してみました。 日吉大社…

滋賀の文化財はやはり発信力のなさが課題か

滋賀の文化財は確かに魅力的ですが、やはりそこまで知られているとは思えません。 一部の界隈では評価が高いけれども、それ以外ではあまり評判を聞かなくなるという極端な状態にあります。 この様になってしまう理由として良く上げられるのが、発信力のなさ…

滋賀県の文化財は全国屈指の多さだけどその理由が伝わりづらいのが悩ましい

滋賀県の文化財は、全国屈指の豊かさを誇ります。 国宝と重文の数が全国4位であったり、重要文化的景観が全国2位であったりと、間違いなく豊かと言えるでしょう。 なので、日本の歴史や文化を考える上で滋賀は非常に大切な地域なのです。 しかし、その割に知…