国宝と重文の数が全国4位であったり、重要文化的景観が全国2位であったりと、間違いなく豊かと言えるでしょう。
なので、日本の歴史や文化を考える上で滋賀は非常に大切な地域なのです。
しかし、その割に知名度があまりにも低いように思えます。
京都や奈良、その辺りの陰に完全に隠れてしまっていることが多い印象です。
私も滋賀に長いこと住んできましたが、その豊かさに気づいたのはここ数年のことになります。
日本の歴史や文化に興味が出てきて、その流れで滋賀にたどり着いた感じです。
つまり、何故気になったのかは文化財関連に理由があった訳ではありません。
まず滋賀に住んでいたこと、これが一番大きかったです。
逆を言うなら、もしそうでなければ気づくきっかけを得られず、まず間違いなくたどり着くことは無かったでしょう。
こうした経験から思うのが、滋賀県の文化財における捉えどころのなさです。
例えば京都や奈良は、都や大寺院という非常に分かり易い取っ掛かりがあります。
また、それ故に多くの文化財がこうした中心地に集中しているのです。
一方で滋賀は、その様な偏りが少なく全県的に分布しているのが特徴です。
さらに、ある時代により集中している訳でもなく、この点でも偏りは少なめでしょう。
そのため、この地域がとか、この時代がとか、焦点を上手く合わせづらく、全体の特徴をつかめる象徴的で物語を感じられるものが見えにくいのです。
やはり、この中心のなさが滋賀の文化財の特徴や面白さを伝えにくくしているのかもしれません。
都の近さや交通の要衝による影響を全県的に受け、その下でそれぞれの土地に生きる様々な勢力が互いに影響を与え合いながら文化や歴史を紡いできた。
こういった具合に説明できるのですが、やはり物語性が見えづらい印象があります。
主人公のいる物語ではなく、群像劇といった感覚です。
また、都や大寺院の様に誰もが何となくは想像できる象徴的なものもありません。
もちろん、私の力不足もあるでしょう。
ただ、どうやっても癖が強いものになってしまう様な気もします。