湖国探遊記

滋賀の歴史や文化を中心に、たまにそれ以外も

2022-01-01から1年間の記事一覧

大津絵の名残

大津絵は、詳しく説明しようとするとややこしくドツボにはまる絵画の一種です。 例えばその歴史は、まず仏画に始まり、より世俗的な画題で土産物として発展するも後に衰退し、大正頃から民芸品などとして文化人に再評価され、今は伝統工芸と数奇な運命を辿っ…

太郎坊宮の夫婦岩

巨石信仰というのは、日本の信仰文化における重要な特徴の1つです。 滋賀にも信仰を集める巨石が沢山あり、太郎坊宮の夫婦岩は中でも指折りだと思います。 悪い心の持ち主が通ると挟まれるとの言い伝えもある様に、分かたれた岩は何れも非常に大きく、その隙…

瀬田川の鴨たち

琵琶湖と瀬田川の境目は何処なのだろうか、ふとした時に考えてしまいます。 おそらくこの辺ではと思う所を散歩していると、夕暮れの光で良い感じになった鴨たちがいたので思わず撮ってみました。 琵琶湖にはこの様な水鳥がそこかしこにいて、ぽてぽて歩く姿…

岩間寺のお池

白の中の金色はいつもより映えるようで、仏様の所にだけ温かみがあります。 そんな仏様の見つめる先にあるのが、凍える芭蕉の池です。 これは松尾芭蕉が、この池でかの有名な「古池や 蛙飛び込む 池の音」を詠んだと伝わることに由来します。 芭蕉がここまで…

三井寺の桜

時代劇などにもよく使われるこの場所は、三井寺でも特に重要な場所への入り口にあたります。 つまり、三井寺、正式には園城寺を天台別院とし再興させ今に続く形の礎を成した智証大師円珍をお祀りする聖域なのです。 そう思って改めて見ると、確かに別格の扱…

旧竹林院の四阿

坂本の街並みは古く落ち着いていますが、旧竹林院のお庭はもう一段程静かに感じます。 やはり元は里坊だけに、そういう雰囲気が好まれたのかもしれません。 この四阿も、ポツンとした佇まいがその雰囲気によく合っています。 客人を出迎える必要が無いのなら…

彦根城と紅葉

彦根城は、まさに創意工夫のお城だと思います。 築城当時は豊臣方もまだ力を持っており、その最前線の抑えとしてなるべく急いで築城する必要がありました。 ただ、守りの固さや権威を見せつける佇まいも当然求められます。 天守はそうした難題に見事に応えた…

西教寺の念仏小僧

西教寺のこの小僧さんは、一息入れているのか妙にくたびれた様子です。 もしかすると、念仏小僧と呼ばれていても流石に子供ですので昼過ぎにはまどろんでしまうのかもしれません。 お寺に響く念仏につられて自分も唱えてしまうだけだとえら過ぎるので、これ…

豊郷小学校旧校舎群の廊下

ここに何の縁も所縁もないはずなのに、何故か懐かしい気持ちになる場所です。 校舎の雰囲気がそうさせるのか、夕方へと差し掛かる時間帯がそうさせるのか、あるいはまとめて全部かもしれません。 例えば木の床に真っ直ぐのびた廊下、壁は白いですが無機質で…

坂本ケーブルの延暦寺駅からなら琵琶湖が最も琵琶の形に見えるかも?個人的な見解ですが

坂本ケーブルの延暦寺駅付近からの眺め 琵琶湖は何処から見たら琵琶の形に見えるのか? この疑問に対し、手掛かりも無いので原点に立ち返ってみることにしました。 つまり、文献上最も古く琵琶に例えたとされる比叡山の僧、光定は何故その様に思えたのかです…

建部大社の三本杉

神紋にも描かれている建部大社の三本杉には、よく分からないことがあります。 この木はまとめて一本なのでしょうか、それとも別々の木なのでしょうか? そんなどうでもいいことを気にしてしまう人でも、この立派な神木は社殿の前に立ちいつも迎えてくれます…

満月寺の浮御堂

お寺よりもそれを構成する建物の方が有名で、お寺ではなくその建物の名前の方が通りが良い事がままあります。 ここ満月寺の浮御堂もそうで、近江八景「堅田の落雁」だと浮御堂が主役になる所為でしょう。 そんな湖に浮かぶ姿も良いのですが、浮御堂から眺め…

近江八幡市の八幡堀

時代劇で様々な場所を演じてきた八幡堀は、最早ベテランロケ地と言えるでしょう。 実際、良い具合の瞬間を狙えば江戸時代かの様な光景を今も捉えることが出来ます。 ただ、水路で様々な物資をやり取りしていた近江商人たちの活気は流石に再現できませんでし…

金剛輪寺の千体地蔵

本堂までちょっとした山道を行く金剛輪寺の参道には、本当に沢山のお地蔵様が祀られています。 一体一体それぞれによだれ掛けと風車が供えられ、やはり地域の方々に大切されているでしょう。 初夏に行くと、木漏れ日の薄暗い中で時折風車が回る落ち着いた雰…

唐橋の夕景

石山寺に行く際には、必ずと言っていい程よく通る橋。 古くからも交通の要衝で、それだけに大きな戦の舞台にも何度もなりました。 一方で近江八景の1つ「瀬田の夕照」に挙げられる通り、近江を代表する名所としても有名です。 今は、やはり帰り道にもよく見…

石山寺の硅灰石

急な階段をえっちらほっちら上がると、大きなとても大きな岩がひしめき合い生える開けた場所に出ます。 なるほど、これは石山だなと思える光景です。 周りを歩くと他にも岩が露出している所があるので、ここら一帯が岩の塊なのかもしれません。 なぜ古から石…

CFexpressはSDに代わる次世代メモリーカードになれるのか?性能面だけでない後継規格が求められる理由など

年末なのでいつもとは全く内容を書いてみようかと、ふと思い立ってしまいました。 寺社巡りなどに使っているカメラに関して気になる話題、次世代メモリーカード、CFexpressやSD Expressについてです。 ただ、自分もそうなのですが現時点でこれらをよく使う方…

石山寺の源流は縄文時代までさかのぼる?古から続く聖地としての歴史

今の石山寺に直接つながる歴史は、まず奈良時代に良弁僧正が聖武天皇の勅願を受けて聖徳太子の念持仏を祀ったことに始まるとされます。 この頃、奈良の東大寺で大仏の建立が進められていたのですが鍍金の為の金が不足していました。 そこで聖武天皇の命によ…

三井寺に行ったらぜひ見て欲しい大半の人が見逃す歴史を物語る貴重な遺物

滋賀を代表する古刹である三井寺の創建は7世紀頃、白鳳期にまで遡るとも伝えられています。 そして、その創建の歴史を物語るものの中で最も有名なのはやはりご本尊の弥勒菩薩様でしょう。 このご本尊は天智天皇の念持仏とも伝わりますが、これには孫の与太…

三井寺に行くなら見ておきたい延暦寺との対立を物語る伝説の跡

三井寺は滋賀を代表する古刹だけあり、実に様々な伝説を有しています。 それらは得てして真実とまでは言えないものの、全くのでたらめとも言い切れません。 つまり、それらの伝説は何かしらの契機があったからこそ生み出されたと考えられるのです。 そんな伝…

沙沙貴神社の御祭神は佐々木一族の歴史をどう表しているのか?

安土城の最寄り駅でもある安土駅から徒歩で15分ほど行くと、それは立派な楼門や社殿が立ち並ぶ沙沙貴神社があります。 流石は全国の佐々木さん達の崇敬を集める神社らしい、どっしりとした佇まいです。 そんな沙沙貴神社には、次の四座五柱の神様が御祭神と…

滋賀の歴史に戦が多いのは全県を統一する権力者が育たない複雑な権力構造が一因か?

今でこそ滋賀県はのどかで落ち着いていますが、その歴史を見るとかなり血生臭く感じます。 壬申の乱、治承・寿永の乱、姉川の合戦など、日本の行く末をも左右する大戦の舞台となることが実に多いように思えるのです。 その理由の1つとして、まず挙げられるの…

最澄の学者肌に空海のカリスマ性という対照的な二人の違いとその影響

最澄と空海、どちらが有名かと言うとおそらく空海の方でしょう。 空海あるいは弘法大師ゆかりの何某、その様な数多くの伝説が全国各地に残されていることからも認知度の高さが表れています。 一方で最澄の伝説はと言うと、空海ほどには出会いません。 それに…

浅井氏の歴史を学び始めて思う下剋上の在り方や当時の受け止め方の不思議さ

下剋上と言うと、主君など名上の人を強引に押しのけてのし上がる戦国時代を象徴する言葉として扱われたりします。 特に主君を殺害して取って代わる様な、かなり物騒な印象があるかもしれません。 私自身その様な感じに思っていたのですが、浅井氏の歴史を見…

歴史的な場所は現場に行くことも肝心と思う理由

ネットを通じて様々なことを知れる現代では、直接その場所へと行く意味をあまり感じないことが増えているかもしれません。 遠くの名産品もお取り寄せできますし、ストリートビューなどを使えば様々な街並みも見ることが出来ます。 しかしながら、歴史的な場…

お酒は文化や科学や自然環境と様々な側面で語れて面白い

お酒は実に面白い創作物です。 その歴史は古く、世界的には数千年も前から作られ飲まれてきました。 日本でも、古事記に書かれた「八塩折之酒」などが古い記録として有名です。 それほどまでに長い歴史があるお酒なので、造られる国ごとに個性的な酒の歴史や…

踊る埴輪や残虐な織田信長などの歴史を学ぶ上で厄介な強すぎる物語性

歴史について語ったり学んだりする時、得てして何らかの解釈をもってしまうのが人の性です。 つまり、広く流布している説や見方などの影響を受けていることが多いかと思います。 例えば左右の手を上げ下げしたひょうきんな埴輪は、踊っている様にも見えるこ…

滋賀の旅行で目的地にたどり着く最後の一手はレンタサイクルが一番いいのかも

滋賀の旅行なら、交通手段はやはり車かタクシーが一番困ることなく効率よく回れるでしょう。 自分の県なのですが、滋賀の公共交通の事情は流石に自慢できるものではありません。 まず鉄道は、琵琶湖を囲う様にJRが一周し、草津線や近江鉄道、信楽高原鐵道、…

金剛輪寺の別名や愛荘町の地名に残る依知秦氏の名残りについて

金剛輪寺と言えば、湖東三山のお寺として有名で秋の紅葉の時期は多くの人で賑わいます。 また、名前の由来と関連するので天台密教の道場としての歴史も通な人にはよく知られているかもしれません。 しかし、今回話題の中心はもう1つの名前である松尾寺の方に…

滋賀、多賀、甲賀と並べると余計にややこしい甲賀の読み方の問題

甲賀は何と読むのかご存じでしょうか? おそらく、「こうが」と呼んでしまう方が多いかもしれません。 滋賀は「しが」、多賀は「たが」など、引っ張られる読み方も多いので余計でしょう。 しかし、元々は「こうか」であり、実はこちらが甲賀市などで使われる…