お酒は実に面白い創作物です。
その歴史は古く、世界的には数千年も前から作られ飲まれてきました。
日本でも、古事記に書かれた「八塩折之酒」などが古い記録として有名です。
それほどまでに長い歴史があるお酒なので、造られる国ごとに個性的な酒の歴史や文化が紡がれてきました。
これにはお酒が単に渇きを潤す飲み物ではなく「酔う」という特徴があり、その受けとめ方が国や宗教などによって異なったことがまず大きいと考えられます。
日本ではどちらかと言えば肯定的な飲み物として受けとめられ、最初期には神と人とを繋ぐ役割がまず与えられていました。
こうした風習や考え方の伝統が今でも受け継がれ、祭事や慶事などで飲まれる文化につながったと考えられます。
また、お酒は農作物や自然環境の影響も強く受けるのでその国の個性が表れているのです。
日本でも、やはり日本酒はお米で作られます。
一方で鹿児島などでは、火山灰の影響により米作りに向かなかったので薩摩芋の生産が江戸時代に盛んになり芋焼酎が多く作られるようになりました。
ちなみに、鹿児島など九州で焼酎がより広まったのには琉球などから焼酎文化が入ってきたことが指摘されています。
こうした所も、酒から語れる興味深い歴史の1つです。
さらに、お酒造りは自然環境と共にあると言っても過言でもありません。
日本酒の場合だと、「寒造り」にそれがよく表れています。
この寒造りはお酒を冬の寒い時期に仕込む作り方で、お米がこの頃には収穫されていることなどの理由から江戸時代からよく行われるようになりました。
その中でも、大きな理由として低温により余計な発酵、つまり腐ることが減り失敗が少ないこと、ひいては酒質の向上が見込めることがあります。
それと、造り酒屋さんに聞いた話では冷房設備を過剰に使わなくて済む為、現代においては環境にやさしいという利点も生まれているそうです。
あと、先程の理由の他に鹿児島など九州に焼酎文化が根付いたのは温暖な気候が影響しているとも言われています。
そのため、鹿児島などでは芋焼酎が作られる前から焼酎が作られていました。
そして、米や水などの原材料を広く捉えると里山を考える視点にもなります。
おいしいお米ときれいな水はどうすれば得られるのか、これは非常に重要な問題です。
こうした視点で見ると、人々が自然の中で上手く暮らしている結果として良いお酒が出来るので、確かにその土地の神様への捧げものとしてふさわしい様に思えてきます。
もちろん、この話は私の勝手に作った物語でしかありません。
この様に歴史や文化、自然環境と関わりの深いお酒ですが、最近では科学の力がより取り入れられ更なる発展を遂げようとしています。
つまり、お酒の発酵は生命科学など科学的に見ても非常に興味深い存在なのです。
しかも、こうした研究によりおいしいお酒が造られるだけでなく、その土地らしい個性的なお酒も造られるようになりました。
例えば大学と協力し、新しい酵母を見つけてきてそれでお酒を造ったりしています。
お酒には、この様に様々な語りがいのある物語を持っているのです。
ただ、当然飲み過ぎには注意なので、話が上手くまとめられる内に終わらせるのが良いでしょう。
なので、今日はこの辺で終わりにします。