CFexpressTypeBは今後どうなる?方針が気になる今日この頃
ニコンからはニコン ZR、キヤノンからはEOS C50が発表され大いに盛り上がっています。
いよいよソニーも本気にならないと、昨今のパッとしない状況を見るに危ういのではと思う程です。
ただ、動画は正直そこまで詳しくありません。
なので他にその辺りは任せて、それらで気になったメディア関連の話をします。
つまり、CFexpress TypeBについてで面倒な事態に陥っているのではと思えるのです。
これまでは、結局はどうにかするだろうと楽観的に見てきました。
しかし、本当にそうなのかが最近の状況から流石に気になってきたのです。
なぜ気になるのか、何が疑問なののか、その辺りをまとめてみました。
なお、かなりとりとめもなく書いてしまったので、無駄に長くなっています。
その時は、最後の手前の章まで飛ばしてください。
TypeBの中途半端な採用状況
TypeBでまず気になるのが、その採用状況です。
例えばミラーレスでTypeBが2枚のダブルスロットを実現できたのは、今の所はニコンのZ9とキヤノンのR1だけです。
他のミラーレスでは、SDとTypeBとの組み合わせが主流になっています。
これは動画特化機でも見られ、冒頭に挙げた2機種も同じ様な方式です。
また、ニコン ZRではmicro SDと異色の組み合わせを採用してきました。
このmicro SDはUHS-Iなので、理論値は104MB/s、ビデオクラスはV30(30MB/s=240Mbps)までしか対応していません。
これはTypeBと比べ桁違いの遅さで、一つの機械に収まっているのが不思議な程です。
無いよりはましなのかもですが、他の組み合わせは無かったのかかなり疑問に思えます。
正直、その場しのぎにも見えてしまう方式です。
やはり、将来には何らかの手を打つ必要があるのは間違いありません。
これはSDを採用する機種においても差があるので、同様かと思います。
その上、後述する通りSDとCFは競合関係にあるので問題になるかもしれません。
実用上の問題は示しにくいものの、収まりの悪さをすごく感じます。
例えるなら、ベータとVHSが共に収まる感じです。
さらに、異なるメモリーカードの組み合わせなのも実用面で悩ましい所でしょう。
メモリーカードの揃え方やカードリーダーなど、色々と工夫が必要で面倒くさいです。
そして、この様なTypeBの採用状況に対してTypeAと比較すると対照的な状況が見えてきます。
TypeAの採用状況から見えること
TypeAはTypeBに比べ、あまり普及が進んでいないとされます。
そのことは、おおむね間違ってはいないでしょう。
詳しいシェアなど不明ですが、採用するメーカーや機種数などでその様に考えられます。
ただ、「おおむね」と言ったように当てはまらない状況も見て取れるのです。
まずTypeBは、TypeAより多くのメーカーに採用されています。
一方、採用するメーカーの多くでは一部の限られた機種のみにしか搭載されていないのです。
これはTypeAと対照的で、ソニーでは比べて多くの機種で搭載されています。
簡単に言うとミラーレスでは箱形以外、機種数では半分くらいがTypeAを搭載しているのです。
さらに、動画特化機などその他を加えるとTypeAは13機種で搭載されています。
こうなると、大半と言えるかもしれません。
横には広がるTypeBと、縦には広がるTypeAといった具合です。
もちろん、ソニーの商品展開がより広いことで数が増えているとも見れます。
しかし、理由はどうであれ多いことは事実なので、他より先んじていると考えてよいでしょう。
残りの箱形とコンデジをどうするか、小さいだけに難しいかもですが頑張って欲しいです。
また、α7IVは普及の進捗度を考える指標の1つとして参考にできるかと思います。
この機種は2021年の年末に、おおよそ33万くらいで発売されました。
注目したいのは、この機種がソニーの標準機でありながらTypeAをダブルスロットの片一方だけですが採用したことです。
ここから、このクラスのダブルスロット機でもTypeAなら片一方だけでも採用できたのではないかという可能性が浮かんできます。
具体的には控えますが、要はSDのダブルスロットを採用する機種です。
α7IV以降に発売のミラーレスで数えると、知る限りですが8機種あります。
動画特化機を加えると、もう少し増えるでしょう。
当然、全てで実際に出来たかは不明です。
例えば、先程の機種では価格を考慮していません。
それでも、CFexpress採用の機種が増えた可能性は十分に考えられます。
もしそうなら、CF陣営にとっては無視できない機会損失かもしれません。
これらの機種は今後も中古市場でよく取引されると考えられ、その影響はしばらく残ります。
中古で新しい規格が使えないのは、尾を引く厄介な問題です。
この問題は、移行を早めに進めた方が良い理由の1つとして挙げられます。
さらに、TypeAではTypeBの様な片方だけでの採用が少ないのも特徴です。
先のα7IVとFX2以外では、ダブルスロットの両方でTypeAを使うことができます。
メモリーカードの種類や採用の仕方に一貫性があることは、将来を予想しやすく好ましいです。
α7IVやFX2にしても、本体の大きさでは他の両方がTypeAの機種と変わらないので搭載しようと思えばできるでしょう。
以上の通り、TypeAならと思えることがちらほらと出てきているのです。
何より、TypeAとTypeBは競合してはいません。
なので、余計に思ってしまうのです。
この競合関係や取り巻く事情は根本にあたるので、軽くですが整理しておきます。
CF陣営とSD陣営の事情
メモリーカード界隈で今現在進められているのが、次世代メモリーカードへの移行です。
これはカメラ内の問題、例えば8Kや高速連写など、より高性能なメモリーカードが求められているのも要因の1つに挙げられます。
その上、より大きい問題と考えられるのが現行のUHS系のSDでは周辺環境に比べて圧倒的な性能差が生まれており、追いつくのも困難なことです。
例えばSSDやUSB4を始めとして、SDで使われるMB単位ではなくGB単位の通信速度になっています。
これらの事情からCF陣営はCFexpress、SD陣営はSD Expressとそれぞれの次世代を打ち出してきました。
ついでに言うと、次世代メモリーカードへの移行は最早決定事項と考えられます。
要は、カメラだけで完全に独自の規格を維持できるほどの市場規模を確保するのが難しいのです。
それはCFexpressとSD Expressのいずれもが、SSDで使われるPCIeを採用したことにも表れています。
ただ、中身が似たものでも両者が競合関係なことは変わりません。
それを象徴するのが、CFexpress TypeAです。
TypeAはTypeCと一緒に、今のTypeBだけでは難しいより多くの需要に応える為に追加されました。
TypeAは一言で言うと、SDの後釜を狙う規格です。
CF陣営に、この先は上位機種に採用されるだけでは駄目だという危機感があったと思われます。
こうしてCFexpressはTypeA、B、C、SD ExpressはSDとmicroSDという陣容になりました。
CFexpressとしては、TypeAでSDに比べ大きすぎるTypeBの問題を解消する算段と考えられます。
では、TypeBは実際どれ程大きいのでしょうか?
なおTypeAの今後がよく取り沙汰されますが、TypeBとの関係や前述した狙いなどから考え、現時点では心配ないのではと思われます。
むしろTypeAでSD需要を取り込まないと市場規模が狭くなり、CF陣営にとって良くない状況になるかもしれません。
TypeBの大き過ぎる問題
TypeBの大きさの程を測る上で参考にしたいのが、カメラを分解し紹介するサイトです。
その中でも、下記のパナソニックのS1Rは大きさが分かりやすいかと思います。
Kolarivision:THE PANASONIC S1R DISASSEMBLY AND TEARDOWN
なお、S1Rは当初XQD対応でしたがアップデートでTypeBに対応しました。
それでも、大きさでは特に変わりないはずです。
サイトの中ほどにメイン基板の写真があり、そこでTypeBとSDのソケットをどの様に搭載しているかが確認できます。
見ると基板いっぱいに2つのソケットが並んでおり、S1Rの大きさをもってしても余裕がありません。
SDをTypeBに変えた場合、果たして搭載できるのかかなり微妙な塩梅です。
まして最近のミラーレスではS1Rよりも大きい方が少なく、より難易度は高くなります。
実際、S1Rも2世代目は小さくなりました。
さらにこの2世代目は、スロットの外見からソケット2つの搭載方法を変えていると推察されます。
これは他のSDとTypeBの機種でも見られる方法で、ソケット2つで基板を挟む形です。
スロットの穴を見ると長辺を接する並びだったり、ズレていたりするのはこの方法と考えられます。
また、Z9やR1もこの挟む方法でTypeBを2つ搭載していると考えられるのです。
Z9は分解されており確実に、R1は製品紹介サイトの透視図から推定されます。
もちろん、基板が短いからとは言い切れません。
ただ、他のミラーレスでもこの方法で2枚のTypeBを搭載しなければならない可能性が高いです。
それは、より小さいSDでも挟む形が主流なことからうかがえます。
しかし、その方法だと重なることでの厚みの増加や排熱をどうするのかなどが問題です。
厚みでは、TypeBとSDの厚さは1.7mm違います。
単純にこのまま考えても、精密機器では無視できない違いです。
しかもグリップは大きさに限度があるので、その中でやりくりせねばなりません。
ちなみに、TypeA1枚とTypeB2枚の厚さは4.8mmも違います。
これが決め手かは不明ですが、ソニーがTypeBを諦めたのも頷ける話です。
さらに、重ならない場合は1方向で排熱する構造が採用でき、例えばグリップ部分から逃がしています。
先のS1Rも、見た所その構造です。
一方で重なると、表と裏の2方向から熱を逃がすなど工夫する必要が出てきます。
この辺りをどう解決するのか、気になる所です。
Z9やR1は縦位置一体型なため横側のグリップ部分に余裕があり、そこを上手く活かしたと思われます。
バッテリー分空くので、かなり大きいです。
Z9の分解を見てみると、下側のグリップ部も排熱に使っているように見受けられました。
つまり、これらでの方法はそのまま他の機種に応用できない可能性が高いです。
なお、シングルスロットの機種ではさらに小ささが重視されるため、TypeBの大きさは同じく大変かと思われます。
正直、そこまでしてTypeBでないといけないのかが疑問です。
特に性能面で考えても、疑問が深まります。
TypeBでないといけないのか?
TypeBとTypeAで明確に差が見られるのは、今の所は取り込み時間だけです。
端的に言うとUSB4を十分に活かせる環境を用意する必要がありますが、理論値では倍の速度で取り込むことができます。
一方で、カメラを使う際には現時点で明らかな差を指摘できたものは見たことがありません。
他にも機能として差があっても、メモリーカードの数値上は可能と考えられる場合がほとんどです。
この場合、製品の性格による商業的な判断など他の可能性が考えれます。
違いが見られないのには、カメラ本体側の書き込み性能がどの会社でも概ね1GB/s未満なのが根本的な理由です。
以下に示す様にメモリーカードは準備万端ですが、結局カメラが対応しなければ意味がありません。
また、これ以上の性能を考えるなら技術面では特にデータ量と消費電力が大きな課題です。
例えば動画撮影では、TypeAだとVPG800(800MB/s=6400Mbps)対応の製品が出ています。
あくまで数値上ですが、ミラーレスにおいてこれで撮影できないものは知る限りありません。
業務機では、12Kやら17KのRAWなど足りないものも有るには有りますが例外過ぎるでしょう。
何より、一般には扱い難いデータ量が生まれるのが極めて深刻な問題です。
仮に800MB/sで考えてみると、1分間で約48GB、1TBでも20分ちょっと撮れるかくらいのデータ量が生み出されます。
データ量が増大すると扱う為の周辺環境も増強する必要があり、カメラだけの問題にとどまりません。
次に静止画の連写で考えたいものの、面倒な問題があり単純に考えにくいです。
例えば全く詰まらずに永遠に連写し続けられるのが一番の理想ですが、現実的にこの様な使い方はまずしません。
その上、この理想的な状態を前提に考えると無駄に高い性能を求められます。
そこで現実的で十分な性能を想定し、それを前提に考える必要があるのです。
しかし、この性能は人それぞれかもしれません。
それによって、連写時間、バッファに溜める想定にするとその容量など、条件が変わります。
こうしたことから、具体的に示すのが難しいです。
細かく条件を考えれば良いのですが、長くなるので今回は割愛させてください。
いずれにせよ、TypeAでも極端な想定をしない限り対応できると考えられます。
もし今のカメラ性能から上げるとして、意味が有りそうなのはRAW形式で秒間20コマを超えるような所でしょう。
しかも出来る出来ないではなく、言わば快適さの問題なので感じ方には個人差があると思われます。
さらに、結局はカメラ側の書き込み速度次第です。
これに関しては消費電力が重大な問題で、カメラの性能を上げる程に増大します。
それに伴い、発熱やバッテリーの問題がより深刻化するのです。
そのため、必要十分な性能が求められます。
無駄な高性能にすると、まず使わない機能のために不利益だけ被ることになりかねません。
ここが、各社が1GB/s未満に留まる要因の1つではと推測されます。
実際に、今のカメラでは発熱やバッテリーの問題が深刻化する一方です。
むしろ性能の向上より、それらの問題に重点を置く方が恩恵が大きいかもしれません。
30分足らずで1TB行くような動画撮影や、秒間20コマを超える連写をどれだけ必要とされているのか?
この辺りを考えてみると良いかもしれません。
一方で、CFexpressはPCIeの世代を更新することで速度を規格上では向上させることが可能です。
世代が上がるごとに、倍々に理論値が向上します。
これに対応するかは、先の消費電力とデータ量の問題にどう折り合いをつけるかです。
つまり、全てはカメラ次第と言えます。
以上のことから、カメラがTypeAの性能で不足する状況が何時になるのか全く読めません。
現在の性能では、カメラ側の性能が倍以上になってようやく足りなくなります。
もし数年先で追いついても、PCIeの更新がされればまた引き離されるでしょう。
もちろん、TypeBの取り込み時間は魅力です。
加えて、熱問題にも利点があると考えられます。
なので、採用できるのならTypeBが良いのは間違いありません。
一方、先の通り現在のTypeBの採用状況は悩ましい状況です。
他にもTypeBをどうにか採用したしわ寄せなのか、別の箇所に粗が出てるようにも見受けられるものがあります。
そこを見ると、無理があるならTypeAで良いのではと思ってしまうのです。
なお、TypeBはより大きいことから熱対策の面でも優位かもですが評価が悩ましく思えます。
無理を押してまで搭載する価値があるのか、ここの判断が難しいです。
まず、そもそもどれ程の効果があるのか明らかではありません。
TypeBを搭載できる大きさならば、それに関わらず熱に強くなるでしょう。
例えばファンなどを搭載するといった、別の対策も考えられます。
その方がダブルスロットや接続端子などを妥協することなく、小型化も両立できるかもしれません。
結局、カメラで出来ることに大きな違いが無いので強い動機にはなり難いように思えます。
さて、以上を前提にしTypeBの疑問に思えることを最後にまとめてみました。
TypeBにまつわる疑問
最近のTypeBを取り巻く状況から、大きく次の2つが疑問に思えます。
- 異なる組み合わせの機種の今後は?
- 今、次世代メモリーカードを採用できていない機種はどうなるのか?
異なる組み合わせは?
今のTypeBは、SDと並べたダブルスロットの機種が多くを占めています。
また、TypeBを2枚採用できた機種はミラーレスだと非常に大きく構造が特殊な縦位置一体型だけです。
そのため、一般的なミラーレスではどの様に次世代メモリーカードへ移行するのか判然としません。
例えば、次の様な可能性が考えられます。
- TypeBを2枚搭載
- TypeBとTypeAの組み合わせ
- TypeBと内蔵メモリの組み合わせ
- TypeBとSD Expressの組み合わせ
- TypeBを1枚だけ搭載
- TypeAに切り替え2枚搭載
TypeBがすんなり搭載できる大きさなら問題ないと思えるのですが、色々見ても確信が持てません。
しかも一般的なミラーレスだとTypeBを2枚搭載した機種はなく、実例も無い状態です。
次に候補としては2番目と3番目ですが、使い勝手に影響するので意見が分かれるでしょう。
同じ組み合わせで同じ様に使える方が、やはり扱い易いです。
また、SDとの組み合わせは競合する規格と根本的な問題を抱えています。
そのため、SDの次世代であるSD Expressと果たして共存できるのかが疑問です。
あと、SD ExpressはUHS-ⅠⅠと互換性がありません。
つまり、ちゃんとしたSD Expressが登場しないとUHS-Ⅰとしか動作せず機能が大幅に制限されます。
それなら、既にそこそこ揃うTypeAを採用した方が順当かつ合理的です。
5と6番目は、今更かと思ってしまいます。
問題になることは目に見えているので、まず避けて欲しいです。
この通り、どれも決め手に欠けます。
ただ、この中途半端な状況をずっと続けて良いとは思えません。
2017年にTypeBが策定されてから、もう8年です。
機種ごとに考えると、TypeBを採用し2世代目以降の機種も既に出ています。
新しい機種が登場しても、中途半端なものが増えるばかりです。
なので、今後の方針がいよいよ気になります。
採用できていない機種は?
もう1つの疑問が、SDしか採用できていない機種をどうするのかです。
次世代メモリーカードへの移行は、全ての機種が遅かれ早かれ対応しなければなりません。
カメラだけでなくメモリーカードを取り巻く環境の変化の影響であり、時代の流れと言えるでしょう。
これに対してTypeBの場合は大きさの問題があり、全ての機種で採用できるかは不明です。
CFexpressを採用している以上、TypeBで駄目ならTypeAが順当な代替手段に挙げられます。
この場合、次の2つが気になる所です。
- TypeAを採用する予定はあるのか?
- TypeAからTypeBへのアダプターの利用は?
TypeBを採用しているので、これからもTypeB一本で行くのも有りだと思います。
一方で、難しいのなら早めにTypeAの採用を進めて欲しいです。
前述した通り性能には特に不足は無く、既に時間をかけるだけ無駄と言える状況になっています。
TypeAではSDと1つの穴を共有するスロットが出来るので、まだまだ多いSD需要にどう応えるかの問題もありません。
SD ExpressはmicroSDが一気に増え始めてますが、標準サイズのSDはまだまだです。
さらには、より速い書き込み速度を維持する必要が有るなど、カメラでは全般的により高い性能が求められます。
なので、カメラ向けに開発されたものであることが望ましいです。
つまり、単純にSD Expressが増えれば良いわけではありません。
加えて、SD Expressは構造が古く熱問題で弱さを抱えています。
プラスチックで挟むので、熱が逃げにくいのです。
さらにTypeAを組み合わせるのなら、アダプターをより利用しやすくするのも一手かもしれません。
少々強引ですが、あれこれ種類を揃えるよりはましという考えもできます。
また、そもそもの話としてアダプターの利用はCFexpressでは初めから想定していたことです。
結局の問題は不透明さ
結局TypeBの問題は、今後の見通しが不明なことに端を発します。
例えば異なる組み合わせは、これからどうするのかよく分かりません。
いずれ、何らかの解決策が必要と思われます。
ただ、現状は中途半端な機種が増えるばかりです。
そこからは、問題がより大きくなっているようにも感じます。
その上、今後はさらに多くの機種で次世代メモリーカードの採用が期待されるでしょう。
なので、このまま今のやり方を続けていけば余計に面倒なことになりそうな予感がします。
もちろん、これまで通りでこれからも行けるなら、それが最善です。
しかし、そうでないなら時間をかけるほどに状況は悪化します。
果たして今がどんな状況で、どう考えているのか、よく分かりません。
今は次世代メモリーカードを考えてはいませんが、そんな私でも変える必要が出てくるでしょう。
その時、今のままだと本当に投資して良いか一抹の不安が残ります。
決して安い買い物ではないので、尚更です。
もしも琵琶湖が無かったら?影響が大きすぎて難問題
もしも琵琶湖が無かったら、たまに聞く話題ですが結論はおおよそ決まっています。
日本史が根底から変わるか、場合によっては日本が日本で無くなるかといった具合です。
しかし、それを説明するのには一周回った難しさがあります。
影響の甚大さはまず想像がつくのですが、かえって細かい説明が出来なくなるのです。
なので細かさはあきらめ、せめてその影響力により変化する滋賀の歴史的な役割からざっくりと考えてみました。
そこから、琵琶湖が無い状態も妄想の域ですがあれこれ想像しています。
その想像から、琵琶湖の歴史的な機能が何となしに見えてくるのです。
滋賀の歴史的な役割
日本史で滋賀が果たした役割として、まず挙げたいのが交通と資源の2つです。
この2つにはそれぞれ、琵琶湖の有無によって影響を受ける部分と無い部分があります。
そこで、ひとまず実際の歴史の中での役割を基本にまとめてみました。
交通
滋賀の話でよく出てくるのが、交通の要衝としての重要性です。
特に琵琶湖の水運と絡めて説明するのが、通例かと思います。
ただ、琵琶湖にかかわらず滋賀は交通の要衝として重要な位置にあります。
なぜなら、日本列島のほぼ中央にあって、日本海と太平洋とが接近するくびれにも位置するためです。
これらによって、日本の東西の行き来に欠かせず、日本海側、太平洋側ともつながる日本のハブ的地域となっています。
特に平安時代以降は北陸道や東山道、東海道など、京都から東の地域に向かう主要な道の多くが滋賀を通っていました。
このことに対し、琵琶湖の有無は関係ありません。
要するに琵琶湖の有無は、まずは滋賀の交通事情に影響を与えると言えます。
もちろん、それによってハブ的地域として果たせる役割が変わってくるので、結果として周辺地域にも影響が及ぶでしょう。
実際の歴史では、琵琶湖の水運によって少人数でもより多くの物資の運搬が可能になりました。
この点が、水運の一番の価値と言えます。
船と同じ量を陸路で運ぶ場合、桁違いの人や牛馬が必要です。
一方で、人の移動では陸路も多く利用されました。
「急がば回れ」が生まれたことからも、陸路である唐橋などの大切さが読み取れるでしょう。
天候次第で止まる船を待つより、歩いた方が安全で早いのは陸路の強みです。
逆を言えば、それでも船が利用されたのは前述した輸送体制を整えるのが難しいことが挙げられます。
例えば宿場町の輸送を支える為に周辺の村々が人や牛馬を提供する助郷は、負担が厳しく免除を求める訴えがしばしば出されていました。
以上のように、交通の要衝としての役割は琵琶湖の水運だけでは語れません。
つまり、琵琶湖の有無は交通の面ではハブ的地域の問題として考えることになります。
資源
滋賀の資源と言えば、今は琵琶湖の近畿の水がめ、水資源でしょう。
しかし、歴史的には他にも食料や工業の面で重要な役割を果たしています。
まず食料では、特に米の生産が盛んで近畿の米蔵と呼ばれるほどでした。
例えば都の需要を満たすのに大きく貢献しており、都を都たらしめていたと言えるかもしれません。
次に工業だと、まずは木材が挙げられます。
昔は建材や燃料と、極めて重要な工業資源でした。
高島や甲賀などに杣がおかれ、都や大寺院の造営を支えたりもしたのです。
その名残として、例えば東大寺の二月堂のすぐ側に甲賀の飯道神社が鎮守として祀られています。
その他に、鉄資源の供給地として名を馳せた時代もありました。
特に奈良時代、藤原仲麻呂の権力を近江国庁周辺の製鉄工房や湖北の鉄鉱石が支えていたのです。
先の豊富な木材は、この製鉄工房を支える燃料にもなっていました。
この様に、滋賀が持つ資源は権力者の力の源泉にもなっています。
これらの資源に対し、琵琶湖は主に運搬経路として関わっていました。
陸路より重い荷物を運べるだけでなく、滋賀のあちこちから運びやすくもなります。
例えば石材は非常に重く、水運がなければ遠くへと運ぶことは厳しいです。
なので、琵琶湖の有無はこの運搬経路の問題として考えることになります。
なお、琵琶湖と農業自体の関わりは微妙です。
確かに、湖の側では琵琶湖の水を使っていました。
しかし、それは一部であり多くは川やため池などを活用しています。
なぜなら、琵琶湖が滋賀では低い所にあるため水を引くにも下から上には流れないのが主な原因です。
利用が増えていったのは、動力ポンプが導入された近代以降のことになります。
2つの場合で考えてみる
ここからは琵琶湖が無かったらをあれこれ想像していくのですが、それには大きな問題があります。
それは、琵琶湖があった場所がどうなるかです。
正直、細かく考えればきりがありません。
そこで、平地と山地でざっくり考えてみました。
平地なら?
平地の場合、滋賀自体に大都市が形成されたのではないかと想像されます。
まず、日本全体での滋賀の位置は変わりません。
つまり、ハブ的地域の立ち位置はそのままです。
一方で、琵琶湖が無いので水運は使えません。
そのため、大量の物資を一度に遠くまで運びにくくなります。
ただ、運搬能力の変化は予想しがたいです。
要するに、川による運搬をどう想定するのかで話が変わるでしょう。
滋賀は外周を山地で囲われており、ここからいくつもの川が生まれ琵琶湖へと流れ込んでいます。
琵琶湖が無くても、山地がある以上は川が無くなることはありません。
つまり、何らかの形でそれらの川が平地を流れると想定されます。
正直、どうなるのかさっぱり分かりません。
ただ、まず平地がある想定なのでやはり中心都市はできるでしょう。
ハブとして各地を陸路にて結ぶ、滋賀の内外どちらからも物資が集まる運送拠点となる都市です。
琵琶湖がある場合は、どこの港を経由するかで港の盛衰や利権争いがたびたび起きています。
それに伴い、港を有する都市も大きな影響を受けてきました。
想定する都市が滋賀の中心にあるなら経由せざるを得ず、こうした葛藤も克服するかもしれません。
また、周りの山々から流れる川が変わらないとするなら水資源も確保しやすいと考えられます。
ついでに米や木材など、その他の資源も生産能力はまず変わりません。
米に至っては、平地が増えると共に収穫量も増える可能性すらあるでしょう。
実際に食料増産を目的に、琵琶湖では内湖の多くが埋められてきました。
そして、これらの豊富な資源達は都市を支える強い基盤となるでしょう。
さらに、この都市を手にした勢力も大きな力を持つと考えられます。
例えば有史の初めの方だと、ヤマト王権の成立にも大きく影響を与える可能性が高いです。
実際の歴史を見ても、滋賀の諸勢力がヤマト王権を支えていたことが明らかになっています。
その諸勢力がより強固にまとまる様なものなので、王権との力関係が大きく変わるかもしれません。
これによりどの様に変化するかは想定次第ですが、いずれにせよ歴史に与える影響は甚大です。
山地なら?
この想定は、本当に難しいです。
山の高さはどれ程か、雨はどの様に平野部を流れるのか、考えればきりがありません。
なので、本当にざっくりと行きます。
まず一番の問題は、ハブとしての役割が損なわれる可能性があることです。
少なくとも、畿内とその東にある地域のつながりがより弱くなるでしょう。
一方で、奈良から伊賀を経由して伊勢に抜ける道は変わりません。
要するに、奈良であれば太平洋側から東の地域へと行くことができます。
なので、奈良に都ができる可能性は残るでしょう。
むしろそこから動かなくなる可能性もあり、京都に都が移らないかもしれません。
京都への遷都には滋賀と大阪を直線で結んだ際に、奈良では不便なことが一因です。
滋賀の豊富な資源や東の地域への経路、大阪は西の地域への玄関口、どちらも歴史的に重要です。
これらを上手く活用できる地だったことが、京都が選ばれた理由の1つと考えられます。
また、これらの地域は淀川水域でつなげられるのも大きな強みです。
そのため滋賀の価値が下がれば、大阪とは大和川でつながる奈良から移る必要性も下がるのです。
しかし、問題はそれだけではありません。
例えば北陸とのつながりが弱くなると、朝鮮半島や中国大陸との交流がしにくくなります。
昔は現在の福井、中でも敦賀は海外との玄関口で、そこから一山越えれば湖北から琵琶湖を通り奈良や京都へと行けました。
これは頻繁に使われた極めて重要な経路で、甚大な影響が出ると考えられます。
他方で難波は海外との窓口として変わらないので、そこを通じた交流は可能です。
ただ、難波に偏重すると北九州の重要性が上がり、九州と畿内との力関係が変わるかもしれません。
難波まで来るには瀬戸内海を通る必要があるため、途中の北九州の港は重要な役割を担っていました。
そうした北九州の港が使えなくても畿内により近い敦賀がある、この点は非常に重要です。
以上のことからも、日本史がやはり大きく変わってしまうと思われます。
より具体的には難しいのですが、先ず奈良から都が動かない可能性だけでも一大事です。
さらに最悪の場合は、畿内より東の地域との交流が減り東西の分断が起きるかもしれません。
琵琶湖が果たした役割とは?
長々と琵琶湖の有無による日本史への影響を書いてきましたが、実際はどんなことでも同じ様なことが言えます。
バタフライエフェクトと言われるように、どれほど小さなことでも影響が無視できるとは限りません。
なので、今回の遊びの様な思考実験で考えたいのは琵琶湖の機能についてです。
琵琶湖の凄さとかは、脇に置いて構いません。
真っ当な方法は、やはり実際の歴史を一つ一つ見てそれぞれで琵琶湖の機能を考えることでしょう。
ただ、1、2例挙げるくらいならまだしも、それらを集めて総じて考えるのは難しく手間がかかります。
そこで、今回の様に変則的でも別の観点から考えてみるのもありかと思うのです。
もし無ければを考えれば、それが有ることの意味を探る手掛かりになります。
例えば今回の仮定からは、琵琶湖のゆるいへだたりとしての機能が考えられます。
全く断絶するでも、大きな勢力に育てるでもない、様々な勢力が関わりながら共存できたのは琵琶湖があればこそに思えます。
CFexpressの表記はどうすれば分かりやすくなるか?VPGの活用について
こちらは、先日あげた記事の後編です。
もしよろしければ、前編も読んでみてください。
前編のまとめと今回の要点
- メモリーカードの速度低下には主にサーマルスロットリングとキャッシュ切れがある
- 自社基準の持続書き込み速度は不確かさがある
- VPGはより客観的だが高性能過ぎて使いづらい
これらを受けて、CFexpressを選びやすくするにはどうしたら良いか?
その疑問を起点にし、あれこれ考えてみようと思いぐだぐだ書いてみました。
中心に置くのは、CFexpress全体にVPGを広めるのはどうかという観点です。
ちょうど、SDにおけるビデオクラスの様な使い方を想定しています。
さらに、動画だけでなくCFexpress全体の信頼性を考える際の参考にもならないかと思うのです。
確かにVPGの使い方としてはずれてます。
ただ、これ以外に丁度いい指標が他になく、新たに作るのもややこしいので結局これしか無いです。
しかし、現行のVPGには一般向けに丁度いい指標がありません。
これでは、無駄に高性能で高価な製品を買う必要が出てきてしまいます。
そこで、VPG100を導入する仮定で考えてみました。
VPG100、200、400と区分する様な具合です。
CFexpressは基本性能が高いため、これよりも低くする意味は無いかと思います。
また、あれこれ考えていくと表記の分かり易さにはカメラメーカーの努力が深く関係することも見えてきました。
VPG100は必要か?
前提として、VPG200を備えると余計な費用が発生しVPG100よりもずっと高くなるとします。
そうでなければ、VPG200を一般に幅広く普及させる利点があるのかの一考として読んでください。
主な要点は次の3つです。
- V90対応のSDに変わるメモリーカードの必要性
- 分かりやすくより一般的な指標の必要性
- 一定の品質を担保する品質基準の必要性
1つ目の必要性
最近はV90に対応したSDの価格が高止まりし、CFexpressの方が安くなってきてます。
最早、V90のSDを買うならCFexpressを買った方が良いかもしれません。
ただ、V90のSDの代わりと考えるとCFexpressでは倍以上のVPG200になり過剰さを感じます。
前編で見た通り、性能保証の点ではメーカー独自の持続書き込み速度だと少々心許ないのでこれ以外に選択肢はありません。
また、データ量の扱いやすさを考えるとV90までに収めないとすごく大変なことになります。
その上、より重い記録形式だと消費電力の増大が 見込まれ、バッテリーや発熱の問題がさらに深刻になる恐れがあり、その点でもここが限度となるかもしれません。
将来には解消されるでしょうが、バッテリーも熱も物理的な大きさに強く依存するので直ぐには難しいかと思います。
現状では、省電力技術への期待が大きいです。
なので、V90でも対応できる記録形式もしばらくの間は使われ続けられると考えられます。
むしろ、これ以上の記録形式が一般に普及する方が何時になるのか想像しにくいです。
カメラやメモリーカードに限らず、編集や保存など周辺環境も含めて考える必要があります。
そのため、もしCFexpressがSDの後釜を狙うのならやはりV90の代わりがいるのではと思うのです。
2つ目の必要性
2つ目の要点は、品質保証の必要性がプロに限らない所にあります。
この点は3つの中で、最も大切にしたいです。
例えば家族や友人との思い出やら趣味の記録など、仕事以外にも掛け替えのない場面は沢山あります。
どんな場合でもメモリーカードだけはまず信頼性を最優先する方が良い、そういう考えもある程です。
カメラに外れは少ない一方で、メモリーカードでは残念ながらしばしば見かけます。
例えば偽装SDの様な、悪質なものもありました。
カメラにも全く無いとは言いませんが、ここまでのものはあまり聞いたことがありません。
どちらかと言うと、期待外れと呼ぶ方が当てはまるものが多いと思います。
また、明確な指標は分かりやすさも利点です。
この数値ならこれが撮れる、明確に対応しているかどうかが示されれば選びやすくなります。
これを実現するのなら、カメラとメモリーカードの両方で共有する指標が必須です。
特にメモリーカードはビットとバイトの単位問題があり、ややこしさに拍車をかけています。
この状況を改善する一手にもなるでしょう。
なお、カメラメーカーが出す動作確認済みの一覧を見れば同じことが出来るかもしれません。
ただ、この方法では選択できるメーカーが狭まってしまいます。
また、更新の問題もあって最新のメモリーカードを選べなかったり、いつまで表自体の更新がされるか分かりません。
一方メモリーカードメーカー側では、まず信頼性がどうなのか問われるでしょう。
売る為に多少よく見せようとしてないかや、カメラメーカーでないのにどれ程確かめられているのか、色々と疑問です。
そこを越えたとしても、特に型落ち品を始め全てのカメラで確認をとるのは難しいでしょう。
中古で買うなど、そういう事態もありえます。
なので、明確さと使い易さを兼ね備えられるVPGは丁度良い指標になるのではないかと思うのです。
3つ目の必要性
この点が必要に思えたのは、CFexpress TypeAにて認定詐称の疑惑が指摘されたことがあった為です。
疑惑について
まず、この問題はソニーのカメラが実質的にVPGの認定を必須とすることに端を発します。
ソニーのカメラでは、VPGの認定を受けていないと使えない機能がある為です。
さらに、TypeAはソニーのみで採用されているのでソニーの方針に従う他ありません。
この状況に対して、VPGの認定がされていないにもかかわらず受けたとするフラグを仕込みその規制をすり抜けたメーカーが現れたのです。
高速メモリカードCFexpressには「認定詐称品」が存在していた|Gigazine
この問題では、結局どこのメーカーも言及することなくひっそりと埋もれていきました。
なので、一応は疑惑としています。
ただ、CFAはこの問題を把握していたことが以下の資料から読み取れます。
(原文は英語なのでGoogle翻訳を使いました)
データ要素の1つは、カメラメーカーがVPG動作を必要とするカメラモードでカードがVPG動作を保証していることを示すために使用するVPGフラグです。〈中略〉しかし、メーカーの誤りや不正行為などにより、CFexpressカードのフラグが1に設定されているにもかかわらず、実際にはVPG認定を受けていない場合があります。(筆者註:フラグ1はVPGがサポートされている場合の設定)〈中略〉この問題を解決するため、CFAはウェブサイトでVPG認証メモリカードのリストを公開しており、CFA会員企業のカードが認証されるとリアルタイムで更新されます。
(VPG-5 ホワイトペーパー3章より抜粋)
資料には対策として、認証リストを即時に公開していることも記されています。
対策を打ったことからして、信用問題に繋がるとの認識があったのは確かです。
また、ソニーの仕様は今も変わらないはずなので、VPGの認証なしが使えるのは何かしらやっていると考えられます。
そのため、ソニーのカメラ用にCFexpress TypeAを買う際はリストを確認すると良いかもしれません。
少なくとも、VPGを記載するものを買うことを強くおすすめします。
認証を受けないままロゴを付けると、流石に弁解の余地が無くなるので普通のメーカーならやらないと信じたいです。
しかし、それでも偽装SDなどある界隈なので油断はできません。
疑惑から思うこと
VPGを最低限の品質を担保する基準にできないか、これが疑惑から思うことの要点です。
例えばCFexpress TypeBでも、パソコン向けのSSDをそのまま使ったのような製品があると噂されます。
パソコンとカメラでは動作環境も要求性能も大きく異なるため、この様な製品はおすすめできません。
もちろん噂ですが、自作TypeBのように一般人でも出来るのでプロなら容易いとは思います。
ただ、これは品質の問題であってCFexpressとして問題があるとは言い切れません。
安く作ることが、即違反とはならないのです。
先のTypeAの場合、この様な製品を通そうとするとVPGのフラグに不正に手を加える必要があったので取り沙汰されました。
この様な品質問題に対して、VPGは1つの対策として有効だと思うのです。
まず、VPGは認定を受ける手順が確立している上に第三者が介在します。
そのため、カメラ向けの品質を確保せざるを得なくなるのです。
VPGは動画用ではあるものの、結果として粗悪品を作りにくくすることが出来るかと思います。
少なくとも、選ぶ際の手掛かりにはなるでしょう。
さらに、品質問題は価格が低いものほどむしろ厄介だったりします。
つまり性能が抑えられたものだと、かえって粗悪で安いものが紛れやすくなるのです。
それに対し、VPGは高性能なものが中心なので隙があります。
当然、完璧とはいかないもののこういうのは対策を積み重ねていくしかないです。
こうした必要性からは、CFexpressにVPGが広まれば良さそうに思えます。
ただ、VPGは良いことばかりではないのです。
VPGの普及と弊害と恩恵
VPGの弊害で大きいのは、やはり価格です。
特にソニーがTypeAを採用し始めた頃はVPG400しか準備できてなかったらしく、余計に高性能で高価な製品を用意せざるを得ませんでした。
これは、先の疑惑の引き金の1つかもしれません。
無駄に高い基準も、それはそれで問題です。
しかし、最近はVPG200も登場したためか多少は安くなっています。
性能としても十分な場合が多く、なぜにVPG400から始めたのか不思議でなりません。
確かに必要な所もあるとは思いますが、より需要の多い所から始めて欲しかったです。
そこを思うと、いっそVPG100から用意するのもありだったかもしれません。
一方で、今からVPG100を導入するとどうなるのかも気になります。
VPG200より安くなるのか、VPGが無いものと比べてどれ程高くなるのか、この2つに注目したいです。
さらに、VPGの普及で要になるのがカメラメーカーの姿勢です。
例えばソニーは実質的にVPGを必須としたので、TypeAでは独占状態なので半ば強制的に普及が進みました。
実際、今でもVPGの認証を受けた数はTypeAの方が多いです。
これは別の見方をすれば、メモリーカードに一定の性能を担保させることに成功したとも言えます。
前述したように、やたらに高い性能基準でなければもっと良かったのにと思わざるを得ません。
ソニーもCFAの一員なのに何故かみ合わないのか、ままならないものです。
逆にここまで積極的な姿勢を取らなければ、VPGの普及は上位層に留まるかもしれません。
現状、TypeBでは概ねその通りになっているように見えます。
この場合、それ以外の層に普及しなくて良いのかが問題です。
もしかしたら、メモリーカード側の自主的な努力でVPGの認証を受けた廉価なものが登場する可能性も考えられます。
ただ、廉価帯では価格がよりものを言うのであまり期待は出来ないかもしれません。
やはり安さは極めて重大です。
価格と信頼性の塩梅をどうするのか、ここが問題の難所でしょう。
また、正直、信頼性関連についてはメモリーカード界隈にはあまり期待できません。
個々のメーカーを見れば、確かにしっかり真面目に取り組んでいる所もあります。
一方で全体を見渡すと、専門性が高く知識の格差が大きくなりやすいことにつけ込む、灰色なやり口が珍しくはないです。
つまり、一般層ほど鴨にされやすいとも言えます。
なので、そうした層にも明確で分かりやすい指標がやはり必要ではと思います。
また、しっかりとしたメーカーが選ばれやすくなり恩恵を受けられるかもしれません。
この循環が上手く機能すれば、中々に理想的です。
そのため、VPG100が丁度いい塩梅なのではないかと思います。
一般にも十分な性能ですし、VPG200よりも安くなるかもしれません。
逆を言えば、安くならないなら要らないです。
いかに分かりやすくするか
結局、要はカメラメーカーがどう行動するかです。
例えばソニーの様にVPGを実質的に標準装備として求める、といった具合です。
もちろん、価格問題があるので良いことばかりではありません。
一方、メモリーカード側の努力もまた重要ですが、こちらはまとまりと動機に欠けます。
限られたメーカーが真面目に努力しても、バラバラではかえって混乱の元です。
試験方法などが異なり、実はよく見えてるだけではすごく困ります。
その上、努力をするメーカーにならうとは限らず、むしろ価格面で優位に立てる機会と捉える輩もいるかも知れません。
残念ながら、知識格差につけ込みやすい界隈なので起こり得る話かと思います。
そこを踏まえると、やはりカメラメーカーに音頭を取ってもらうしかないです。
また、良い判別法があっても選ぶ際に知らなければ意味がありません。
ここは使う側の努力が必要な所でしょう。
ただ、メモリーカードはただでさえ専門性が高くて表記も極めて複雑怪奇になってしまいます。
そのため、ここを上手く解きほぐしなるべく簡素で分かりやすい表記があればと思うのです。
CFexpressの持続書き込み速度とVPGの違いと問題点
カメラでの面倒なことの1つが、メモリーカードではないかと思います。
カメラとは、また違った高い専門性があるのです。
かく言う私も例に漏れず、得意ではありません。
なので、ちょこちょこ勉強している次第です。
今回も調べたことを忘れないように、CFexpressの持続速度とVPGの違いや問題点をまとめてます。
当たり前にこれらを使っていますが、改めて考えてみると結構問題が多く考えさせられました。
速度低下の要因
今回取り上げる表記は、いずれもメモリーカードの速度低下に関するものです。
そこで、まずは速度低下がどうして起こるのかから整理していきます。
これは後の話に深く関わるので、かなり重要です。
なお、速度低下の要因としては経年劣化など他にもあるかもしれません。
ただ、今回は通常の使用中に起こり得る問題で主なもの2つを取り上げました。
サーマルスロットリング
この問題は、機材を熱から保護する為にある温度になるとメモリーカードへの書き込み速度を絞るなど諸々の出力を制限して発熱を抑える仕組みです。
簡単に言うとこれだけですが、メモリーカードだけでなくカメラ本体も関わる為ややこしくなります。
つまり、メモリーカードで一義的に速度低下するかどうかを決められないのです。
メモリーカードで消費電力を抑え効率の良い制御を行うなど、熱への対策自体はできます。
メモリーカードの熱は、サーマルスロットリングを引き起こす要因の一つなのでこの対策は重要です。
一方で、カメラ全体をどの様に制御するかの問題はメモリーカードだけでは決まりません。
例えばカメラの初期設定では、低温やけどに対する安全対策が施されています。
実際、どのメーカーでもその設定を切る場合は手に持って使うことを推奨してません。
カメラは手で扱う以上、人体が最も脆弱で重点的に保護する必要があります。
そのため、メモリーカード自体には問題がない低い温度で制御が働いてしまうのです。
もし、これを切ったとしても瞬時に火傷する温度にならないようにはしているかと思われます。
他にも有機ELパネルなど、熱で問題が起きる部材も多いです。
こうしたことからメモリーカード自体がある温度で動作できても、カメラに搭載した状態でその通りに動作できるかは未知数になってしまいます。
なので、維持できる速度の試験にて温度をどこまで考慮しているのかは分かりません。
キャッシュ切れ
この問題は専門性がより高い上に、メモリーカードメーカーがあまり情報を出していないのでもの凄く分かりにくかったです。
そのため、正確さに欠ける簡単な説明になりますがご勘弁ください。
まず、大抵のCFexpressではキャッシュと呼ばれる書き込み速度のより速い領域を確保しています。
この領域が緩衝地帯となることで、より速い速度で保存し続けられるのです。
ただ、このキャッシュが埋まってしまうとより遅い速度でしか保存できなくなります。
これがキャッシュ切れのあらましです。
このキャッシュの領域を確保するには、大きく2つの方法があります。
記憶容量の一部を使う方法、あらかじめその領域を確保しておく方法の2つです。
2つを組み合わせている場合も、中にはあります。
記憶容量の一部を使う方法は、よりメモリー全体の容量を有効活用できるのが強みです。
ただ、記憶容量が埋まっていくとキャッシュ領域も確保しづらくなります。
つまり、大容量の書き込みや残量が少ない時などで速度がより低下しやすくなるのです。
なので、最後まで速い速度を維持したい高価格帯の製品を中心にあらかじめキャッシュのための領域をより多く確保しています。
しかし、これだとメモリー全体では同じ容量でも、キャッシュの分だけ保存できる領域が削られるのが欠点です。
要するに、容量単価が悪化してしまいます。
しかも、どれ程確保しているか示していないことが多いために、高価な理由が分かりにくいことが多くややこしいです。
なので、妙に高い製品を見かけたらここを疑っても良いかもしれません。
例えば、エンジェルバードの新しいCFexpressTypeAでは珍しく表記しています。
この場合、記憶容量と同じくらいの領域を確保しているので容量単価は倍近くになるのです。
Angelbird、VPG400・CFexpress 4.0準拠のType Aカード…100%オーバープロビジョニングで性能向上|デジカメWatch
持続書き込み速度
前述した通り、メモリーカードは書き込み続けるとどうしても速度低下が起きてしまいます。
そこでメモリーカードには、速度低下したとしても維持できる速度を示しているのです。
それに関する表記には、主に持続書き込み速度とVPGの2つがあります。
持続書き込み速度についてはメーカーによって最低持続書き込み速度など、少し違いが認められますが意味は同じです。
つまり、メーカー独自に主張するメモリーカードに書き込み続けても最低限維持される速度を表す表記と考えてください。
特徴と問題点
この表記の特徴には、以下のものがあげられます。
- メーカーの独自基準による表記
- 信頼性はメーカー次第
- カメラ側との連携は無し
- 数値として使いづらい
- 記憶容量の最後まで維持されるかは不明
まず一番大事な前提が、この表記がメモリーカードメーカーによる独自基準なことです。
共通した試験かは不明ですし、そもそも何をやっているかもよく分かりません。
そのため、この数値がどれくらい信頼できるのかはそれぞれのメーカー次第です。
別々のメーカーで数値を比較できるのかも、何とも言えません。
さらにカメラ側との連携は無いので、試験でどれ程カメラでの使用を想定できているかや、実使用にて数値通りの性能を発揮できるか不明です。
例えばプログレードでは、カメラではなくて対応のカードリーダーで使った場合の数値としています。
また、より一般的なパソコン環境に合わせて数値を変更したこともありました。
ProGrade Digital、「CFexpress 4.0 Type B」のラベル表記を変更…実際の使用状況に近い持続書き込み速度に|デジカメWatch
なお、こうしたプログレードの姿勢はむしろ誠実な方で、ここまで情報公開する所は他にありません。
以上から、数値としては少々扱いづらいのです。
例えば動画撮影で対応しているかどうかを確認するには、カメラメーカーが出している動作確認済みの一覧から選んだ方が確実です。
数値が良ければ速いのだろうとは思います。
ただ、しばしば噛み合わない事例があるのです。
VPG200にしか対応していないのに、持続速度は400MB/sを超えるのは何故なのとか気になります。
1つの可能性として、容量の最後まで維持できる数値ではないことが考えられるでしょう。
先のキャッシュ切れの問題は、ある程度まとまったデータ量を書き込まないと発生しません。
この状態は、例えばおなじみのCrystalDiskMarkでは少々力不足で評価することが難しいのです。
各メーカーの試験がどの様なものかは不明ですが、この問題を考慮するとかなり厳しい条件で実施する必要があります。
もちろん、勝手な推測なので確証はありません。
いずれにせよ、この数値は独自基準なので信頼性が各メーカー次第で実用的とは言い難い面があるのが問題点です。
その上、真面目に取り組むほど数値が悪く見え損をしかねないのも問題でしょう。
現状はそこまで悪質なのは無いように思えますが、CFexpressが普及すればどうなるか分かりません。
VPG
VPGはCFAが策定しており、CFexpress公式の表記と言えます。
Video Performance Guaranteeという名が示す通り、動画撮影における性能保証です。
例えばVPG400なら400MB/sのように、VPGの後の数値にMB/sを付けた速度を最低限維持します。
特徴
VPGの主な特徴は、次の通りです。
- CFAが策定したCFexpressの規格内の規格
- 動画撮影向け
- カメラ側との連携あり
- 記憶容量の最後まで維持できる速度
CFAで策定した性能保証ゆえに、カメラメーカーとメモリーカードメーカーが協力しているのが最大の特徴です。
つまり、対応したカメラであればメモリーカードと連携して速度を維持してくれます。
そのため、きちんと認証されたものであれば数値の信頼度はかなり高いです。
試験自体も認証用テスターを用意したり、第三者を絡ませたり、しっかりとした印象を受けました。
なお、どんな場合も保証するわけではありません。
例えば熱の問題はおそらく別で、熱くなりすぎればカメラ側が制限をかけることも考えられます。
また、試験の条件として最後まで書き切れることが確かめられていることも重要です。
ここは動画撮影を考えるなら譲れないでしょう。
一方、静止画の連写ではあまり参考になりません。
容量の最後まで連写しきることなどまず無いので、この想定は大抵の場合で過剰と考えられます。
つまり、過小評価することになるのです。
問題点
上述した通り、VPGは性能を示す数値で最も重要な信頼性はかなり頑張っています。
しかし、問題がないわけではありません。
例えば下の2つは、個人的に引っかかった点です。
- 同じ名前がややこしくしている
- 高性能な指標しかない
同じ名前がややこしい問題
まずVPGの中には、VPG20、65、130、200、400、800、1600があります。
これらは使い所あるいは中身に違いがあるらしく、どうやらいくつかの集団に分かれるようなのです。
ざっくり分けるとCFexpress以前のVPG130以下、CFexpress初期のVPG200と400、そして最新のVPG800、1600の3つです。
VPG130以下はもう少し細かく分けられますが、現状使う機会がほぼ無いのでこれで良いかと思います。
簡単に言うと、CFastやXQD、CF向けの指標です。
要は、CFexpressだとVPG200以上しか使いません。
どうやらVPG200、400が導入されたVPG4.0から、その中身が大きく変わったようです。
上の記事は少々古いですが、VPG4.0向け評価装置を開発した会社がその経緯などに少し触れています。
確かにCFexpress自体、中身も以前とは別物となり性能も大幅に向上しました。
そのため、性能保証の基準やら仕組みが変わるのは当然の対応です。
ただ、それなら名前を変え枠組みから再整理したら良かったのにと思ってしまいます。
もう使わないであろう規格を残して付け足しても、ただ面倒なだけな気がしてなりません。
また、VPG200、400とVPG800、1600には互換性が無いのも厄介です。
例えばVPG800だけに対応したメモリーカードをVPG400対応のカメラに使っても、上手く動作しないかもしれません。
なので、VPG400とVPG800のロゴが並んで記載し、両方に対応することを明記していたりするのです。
こうした最新の規格で互換性が切れてしまうのは、残念ですがやむを得ないことではあります。
ただ、それなら違いをはっきり示して欲しいです。
ロゴを変えるとか、何らかの工夫は必要でしょう。
あるいはSDの様に、昔からの規格が乱立する事態を避けたかったのかもしれません。
しかし、CFexpressの策定で一新したのに合わせて新たな規格に一本化すれば済む話なのではと思ってしまいます。
高性能な指標しかない問題
VPGのもう一つの問題が、現段階では高性能すぎることです。
ざっくり言うと、RAW動画などのかなり重たい記録形式向けしかありません。
そうした記録形式にて生じるデータ量という観点で見ると、その傾向はより明白です。
仮に保証される数値で生じるデータ量を考えると、次の通りになります。
前が30分、後ろが1時間で生じるデータ量です。
- VPG130(130MB/s):約229GB、約457GB
- VPG200(200MB/s):約352GB、約703GB
- VPG400(400MB/s):約703GB、約1.4TB
- VPG800(800MB/s):約1.4TB、約2.7TB
- VPG1600(1600MB/s):約2.7TB、約5.5TB
VPGの値は最低限維持される速度にすぎないので、実際だと余裕を持たせる為にこれ程は撮れません。
さらに下の指標で足りないと上が必要になるので、一つ下のデータ量が考えるべき分かれ目です。
それでも、VPG200は一般には十分すぎるでしょう。
その下のVPG130でも、1時間に400GBを超える様な記録形式まで撮れてしまいます。
もちろん、こうした性能を求める記録形式も実際に現段階でもあるので必要なのは間違いありません。
しかし、より一般向けに使い易い規格があった方が良いのではと思うのです。
例えば、VPG100程度で十分な場合も多いでしょう。
VPG130が使えれば良かったのですが、先程見た通りどうやら難しそうです。
ここを踏まえても、一から作り直してればと思ってしまいます。
こうした使い易い指標の問題は興味深いので、もう少し掘り下げてみます。
(後編に続く)
近江鉄道の昔の略称「近鉄」は「きんてつ」か「おうてつ」か
近江鉄道は、かつて「近鉄」と呼ばれていました。
これは間違いありません。
昔の広告や鉄道の設備など、様々な場所でその名が残されています。
ただ、問題はその読み方です。
まず一般的とされるのが「きんてつ」なのですが、一部に「おうてつ」と読んだと噂されます。
この「おうてつ」が謎なのです。
今回はこれについて調べたのですが、結局ほとんど分かりませんでした。
しかし、全く成果が無かったわけではありません。
呼び方に関するいくつかの確かな手掛かりもあり、そこから1つの推測が立てられました。
読み方がわかる事例
読み方がわかる事例、あるいは読み方が推測できる事例は2つ見つけられました。
逆に言うと、次の2つしか見つけられませんでした。
- 京都日出新聞の明治31年6月10日の記事
- 宇治電之回顧
京都日出新聞
この記事は、「近江鉄道70年のあゆみ」に掲載されていました。
明治31年(1898年)6月10日の記事で、近江鉄道の彦根から愛知川間が11日に開業することを決定したと伝えるものです。
合わせて、開業から1週間は運賃を半額にすることも伝えています。
そして、この記事の見出しに「近鐵開業」とあり、ルビが「きんてつかいげふ」と振ってあるのです。
なので、確実に「きんてつ」と断言できます。
つまり、近江鉄道は開業当初から「近鉄」の略称が使われ「きんてつ」と呼ばれていたのです。
宇治電之回顧
宇治電之回顧は昭和17年(1942年)12月の発行で、以下の「近鉄」に関する記述があります。
斯くて業績振はず、孤城落日の觀があつて、減資に次ぐに減資を以てしたので、何時の程か近鐵は貧鐵と綽名され、上り汽車は「借金々々」と走り、下り汽車は「足らん足らん」と走るなど、世間の口の端にまで揶揄された位であるが、
(宇治電之回顧 p154より一部抜粋)
近江鉄道が開業した辺りの経営状態を記した文章の一部で、好景気だった日清戦争が終わり反動による不況の苦しい状況を伝えています。
なので、元は開業した頃の読みかもしれません。
ただ全く疑問を呈していないので、本書が書かれた1942年当時も同じ読み方だったと考えられます。
その読み方は、ルビが振られていないため正確には分かりません。
しかし、「近鐵」と「貧鐵」に通じる読みとなると「きんてつ」と「ひんてつ」が推測されます。
「おうてつ」では、流石に無理があるでしょう。
そして、以上2つのことから開業当初から戦前まではほぼ確実に「きんてつ」と呼ばれたと分かります。
状況をまとめると
ここまで分かったことは、次の通りです。
- 開業から戦前まではほぼ確実に「きんてつ」が使われていた
- 戦後は読み方を推測できるものが見つからない
- 「きんてつ」とよく言われるものの詳細は不明
- 「おうてつ」に関する資料はいずれの時期でも全く見つからない
つまり、戦後のことはよく分かりません。
「近鉄」と書かれた資料はいくつもあるのですが、ルビを振るなど読み方が分かる事例が無いのです。
なので、「きんてつ」と呼んだとの証言くらいしかありません。
それはそれで重要で、ずっとこの呼び方が使われてきたことは確かと考えられます。
ただ、それ以上の詳しい状況は不明です。
例えば「近鉄」にルビを振る資料が多くあれば、「きんてつ」ばかりだったのか混在していたのかの傾向がつかめたかもしれません。
要するに、「おうてつ」には使用状況を把握できる手掛かりが見つからず現状では何も言えません。
ネット上では、「おうてつ」を少しは見かけるので存在していた可能性はあります。
しかし、根拠が不明なものがほとんどで噂話の域を脱していない印象です。
推測できることは?
まず「きんてつ」の方は開業した当初から呼ばれ、ずっと使われて続けてきたと考えられます。
もちろん、今では「近鉄」の略称が使われることはほとんど無いので「きんてつ」もごく一部で通じる程度です。
一方で「おうてつ」は、おそらく途中から出てきたと思われます。
開業当初「貧鐵」と世間で広く言われていたこと、それが戦前まで通じていることから、その頃はまだ混在していないかもしれません。
つまり、戦後に近江鉄道関連で何かしら事情があり「おうてつ」は生まれ、今の状況を考えると広まる前に下火になってしまったと推測されます。
そして、この流れに沿う事情では近畿日本鉄道との競合が上手く当てはまるかもしれません。
なお、ここからはあくまで個人の想像として聞いてください。
つまり、近畿日本鉄道の「近鉄」と呼び分ける為に「おうてつ」が生まれたとの推測です。
近畿日本鉄道は素直に略すと「きんてつ」ですが、近江鉄道は読み方を短くすれば「おうてつ」です。
そのため、近江鉄道の方を変えるのが自然だったと考えられます。
ただ、その呼び分けは不便に思った一部の人だけが勝手に使い始めたのでしょう。
化学の「ばけがく」呼びに近いかもしれません。
その後、呼び分けが広まるより前に競合が解消し、「近鉄」と一緒に「おうてつ」も風化していったと考えれば今の状況を自然な流れで説明できます。
もちろん、もっと単純に「おうてつ」自体が噂話に過ぎないかもしれません。
ルビをください
昭和の話でもこれ程までに情報が集まらないとは、ままならないものです。
情報化社会だからなどと、悠長に構えてられないとつくづく思わされました。
特に読み方は、ちょくちょく分からなくなっている印象があります。
むしろ記録される難読漢字より、今回の様な複数の読み方が想定されるものの方が決定打に欠け不明になりやすいです。
それゆえ、もっとルビが普及してくれればと思ってしまいます。
今当たり前に読めているものでも、何時までそうであるかは分かりません。
一方、別の読みが定着する事例もあったりします。
それを思えば、それもそれで日本語の奥深さ面白さかもしれません。
ただ、歴史を振り返る時はややこしく何ともです。