近江鉄道のロマンスカーってなに?昭和の広告の謎
ロマンスカー、かつて長浜で行われた祭りの栞にて掲載の広告にそれは記載されていました。
興味を引かれたのは、その広告が近江鉄道が出したものだったからです。
ロマンスカーと言えば、まず小田急の特急で今でもその名を受け継いでいます。
ただ、かつては様々な会社がその名を冠した列車を走らせていました。
昔の近江鉄道にも、その様な列車が走っていたのでしょうか?
しかし、全くそんな話は聞いたことがありません。
特急なんて似合わないのんびり田舎の路線、それが今の印象です。
なので、このロマンスカーが一体何者であるか気になって仕方ないのであれこれ調べてみました。
すると、戦後の近江鉄道による観光事業の始まりに関わるロマンスカーの正体が見えてきたのです。
始まりの展示資料
件の栞は、去年長浜の曳山博物館で開催されていた企画展「秀吉を祀る社の歴史~豊国神社 社宝展~」で展示されていました。
昭和28年から長浜の豊国神社の秋季例祭で奉納されていた、奉納乙女人形浄瑠璃芝居の栞です。
栞自体は昭和30年頃のもので、芝居の芸題や店舗の広告などが掲載されています。
当時の長浜の様子も知れる、興味深い資料です。
乙女人形浄瑠璃芝居では人形を一人で操るそうで、女性の方が演じたとも言われます。
ただ、詳しいことは誰も覚えていないそうです。
そんな中、近江鉄道の広告も掲載されていました。
写真はありませんが、内容は下記の通りです。
図表などを使っていない広告なので、表記は異なるものの内容自体には違いはありません。
- タクシー ロマンスカー 御用命は 近鉄へ
-
電話 バス一六〇〇番 タクシー一六〇一番 一六〇二番
内容はごく単純で、要はタクシーとロマンスカーの宣伝だけです。
しかし、「近鉄」の表記に引っ掛かりを覚える方もいるかもしれません。
なので、まずはこの点を解決していきます。
近鉄と呼ばれた近江鉄道
近江鉄道は、かつて「近鉄」と呼ばれていました。
今では近畿日本鉄道の近鉄が当たり前ですが、実は近江鉄道の方が古いです。
例えば「近江鉄道70年のあゆみ」に掲載する、京都日出新聞の明治31年6月10日付の記事には見出しに「近鐵開業」とあります。
なので、100年以上前からそう呼ばれていたのです。
ちなみに、読み方は「きんてつ」がよく聞きます。
一部では「おうてつ」との意見もあるそうですが、よく分かりません。
この件については、また別の機会に考えてみたいと思います。
さて話を元に戻すと、昭和30年頃と踏まえるのならこの近鉄は近江鉄道を指す可能性が高いです。
ただ、それでは確証に乏しいので広告の電話番号を調べてみました。
すると、長浜駅前にあった長浜営業所の番号と一致したのです。
電話番号が使われた時期も営業所の場所もおかしな点はないので、間違いなく近江鉄道の近鉄だと断定できます。
ロマンスカーって?
近鉄の問題が解消したので、ロマンスカーについて解説していきます。
ロマンスカーが何か、それが今回の要にもなるので重要です。
ロマンスカーは、一言で言ってしまえば2人用の座席かつ対面しない座席配置を持つ車両を指します。
例えば2人用座席でも、向かい合い4人1組となる座席配置ではそう呼ばれません。
要は、ほぼ2人きりの空間を確保できる車両です。
また、この席をロマンスシートとも呼びました。
そんなロマンスカーは、1927年に京阪電車で初めて名付けられたとされます。
その後、私鉄を中心に流行しその名を冠した列車が多く生まれたのです。
ただ、戦後、高度経済成長期辺りから各鉄道会社はより独自色の強い列車を打ち出していきます。
それにより、ロマンスカーは廃れていったのです。
なので、小田急ロマンスカーは唯一の生き残りとも言えます。
ちなみに、誰も使わなくなったので商標もしっかり取りました。
そして、以上のことから近江鉄道においてもかつてロマンスカーなる列車がと期待したわけです。
ただ、それはどうやら思い込みでした。
列車じゃない?
結論から言うと、近江鉄道にロマンスカーにあたる車両はありませんでした。
車両ほとんどがロングシートで、ロマンスシートを備える車両がそもそも無いのです。
クロスシートは初代あかね号に採用された程度で、それ以降は車両の一部だけにとどまっています。
その初代あかね号も1998年に登場したので、時代が全く当てはまりません。
そこで列車に限らず、とにかくロマンスカーという文言を探すことにしました。
すると「近江鉄道70年のあゆみ」の中で、ロマンスカーについて次の通り書かれていたのです。
昭和二十五年十二月二日、ロマンスカーの購入を申請、認可となり、翌二十六年にいすゞ五十人乗ロマンスカーの新車一両が納入され、四月から使用を開始した。
(第12回 四、戦後の復興(3)自動車部門より)
つまり、ロマンスカーは貸切バス部門、観光目的のバスに付けられた名前でした。
確かにバスもロマンスシートと呼ばれる座席形式があるので、それを持つ車両をロマンスカーとしても不自然ではありません。
ただ、当時、その呼び方が一般的かやいすゞ自身がそう宣伝していたかはよく分かりませんでした。
思えば、件の栞にもバスの電話番号が記されるので気付くべきでした。
思い込みって怖いものです。
また、当初は団体客を滋賀県内から京阪神、奈良、伊勢方面への輸送を積極的に行っていたそうです。
栞に掲載の広告も、県外への利用を呼びかけるものだったのかもしれません。
貸切バスで行くならと思うのですが、想像するしかなく難しい所です。
ちなみに、近江鉄道では昭和23年に滋賀県内を事業区域とした一般貸切旅客自動車事業での免許申請を行っています。
そのため、ロマンスカーは戦後復興の始まりに観光バス部門の先駆けとして登場したと言えるのです。
ロマンスカーはいつまであった?
最後に、近江鉄道のロマンスカーがいつまで走っていたのかを考えてみます。
まず最初の手がかりが、「湖南鉄道から八日市鉄道 近江鉄道の名所案内」に掲載のリーフレットです。
「秋 ハイキングと行楽は近江鉄道沿線へ」という題で、116ページに掲載されています。
そのリーフレットの中に、次の通りロマンスカーについて記載されているのです。
(近鐵貸切バス)
観光、見學、修學旅行には是非樂しく旅行できる貸切バスをご利用下さい。使用車は大型ロマンスカーです。
この通り、ロマンスカーが宣伝されています。
しかし、このリーフレットがいつ頃発行されたかが問題です。
上記の本では、昭和40年頃(1965)としています。
一方で、大きく次の3つの疑問点があり違う可能性が高いです。
- 草津線の行き先が「至山田」となっている
- 今の滋賀県畜産技術振興センターが有畜農場と表記されている
- 営業所の数が少ない
まず、「至山田」で最も有力なのが山田駅です。
山田駅は昭和34年に改称され、今現在の伊勢市駅となっています。
つまり、昭和34年以前の可能性が出てくるのです。
なお、宇治山田駅の可能性も一応は考えられなくもないです。
ただ、現近鉄の駅なので草津線と接続しておらず、他の近江鉄道発行のリーフレットにも宇治山田駅と分かる記載はありません。
そのため、順当に考えるなら山田駅です。
次は、地図で日野駅側に記す「有畜農場」です。
場所と名前から考えて、現在の滋賀県畜産技術振興センターと考えられます。
実際、後に発行されたリーフレットには同じ場所に同センターのその後の名称が記載されています。
同センターでは名称の変更が何回も行われており、昭和22年6月から同30年9月までは「滋賀県有畜営農指導所」でした。
おそらく、この通称が有畜農場だったのでしょう。
よって、発行された時期もこの間と推測されます。
最後は営業所の数です。
「近江鉄道70年のあゆみ」によると、昭和30年には彦根、長浜、八日市、能登川、近江八幡、守山、日野、本社に営業所が出来たとあります。
件のリーフレットでは、少なくとも能登川と長浜がありません。
掲載する営業所のみ選ぶ理由や共通点もなく、逆にこの2つを省く理由も考え難いので開設前の可能性が高いです。
また、長浜からのバス路線が1本だけと少ないです。
先の営業所の記載が無いことと合わせて考えると、長浜バス株式会社を吸収合併する昭和27年より前の可能性が考えられます。
以上のことから、リーフレットの発行は最も早くて昭和26年か27年と推定できるのです。
大まかに見てもロマンスカーが運用され始めた頃、昭和30年辺りのものと考えられます。
また、この本の中でロマンスカーとあるのはこれ1つだけです。
なので、自分が知る限りでは乙女人形浄瑠璃芝居の栞の昭和30年頃がロマンスカーを確認できる最後となります。
長浜営業所の電話番号がある為、こちらの栞の方がより新しい可能性が高いです。
もうちょっと頑張ってみた
先程の検証では、ロマンスカーの運用がいつまでか全然分かりませんでした。
やはり、資料がほとんどないのが痛いです。
何より、無くなったことをどう証明するのか自体も問題です。
例えば引退式の記事などがあれば完璧ですが、そう都合よくはいきません。
そこで、今度は状況証拠の方を考えてみます。
要するに、ロマンスカーが使われなくなった状況を探してみました。
すると、2つの有力な情報が見つかったのです。
1つ目が、「近江鉄道の70年のあゆみ」に記載された以下の文章です。
昭和四十年一月四日から、当社は㈱藤川トラベル・サービスと提携して、(中略)当社のデラックス観光バスが、観光日本の一翼を担って快走している。
(第13回 三、躍進のあゆみ(3)自動車部門)
デラックス観光バスは、その名の通り内装や設備が豪華になった観光バスを指します。
例えば冷房やシャンデリア、後にはテレビなど実に様々です。
そのため、ここでのデラックス観光バスがどの様なものであったかは具体的には分かりません。
ただ、ここからロマンスカーでは太刀打ち出来ない状況が読み取れます。
ロマンスカーは、言ってしまえば座席配置だけしか特徴がありません。
なので、この様に豪華さを強調する時代では魅力を感じ難いと考えられます。
この問題は、鉄道のロマンスカーが廃れた理由とも共通する点です。
さらに、同じく昭和40年頃のリーフレットの中にもバスに関する宣伝がありました。
そのリーフレットとは「湖南鉄道から八日市鉄道 近江鉄道の名所案内」に掲載され、近江ゴールデントリオに関するものです。(117ページに掲載)
その中で使用するバスに関して、次の通りの宣伝がされています。
- 走るサロン
- 日野RB10型バス
走るサロンなので、ロマンスカーを明らかに宣伝に使っていません。
おそらく、後部座席がサロン形式の車両でしょう。
また、車両のメーカーも変わってます。
ちなみに、ここで紹介するゴールデントリオはいつ始まったかが分かるツアーです。
まず「彦根名所〈花の生涯〉コース」は、昭和38年10月1日より始まりました。
その名の通り、当初はNHKの「花の生涯」の人気にあやかったコースです。
このドラマは大河ドラマの1作目で、昭和38年の4月から12月まで放送されました。
つまり、このコースは今に繋がる大河観光の始まりとも言えます。
次の「近江名園鑑賞バス」は、当時全国第2位の数を誇る滋賀の埋もれた名園の為に企画されました。
彦根コースは昭和39年5月3日に、大津コースは同年11月1日の開業です。
最後の「びわ湖一周ビーチコース」は、昭和38年4月5日に湖北、湖西回りで彦根から大津を結ぶコースで始まりました。
その後、琵琶湖大橋の開通を受けて昭和40年からは同橋を含むコースとなったのです。
ここで紹介するコースは、琵琶湖大橋を含みます。
まとめると、これらのコースは昭和38年から39年に始まりました。
なので、走るサロンとするバスも合わせてこの時に導入された可能性が考えられます。
遅くとも、広告に載っているので昭和40年以降には確実に走っていました。
そして、これら2つから昭和40年頃に近江鉄道のバス事業が転機を迎え大きく成長したことが伺えます。
一方でロマンスカーは、それを見届け役目を終えたのかもしれません。
バス自体がどうなったのかは不明ですが、宣伝にはロマンスカーを使わなくなったと推測されます。
しかし、直接の証拠ではありません。
昭和30年辺りのロマンスカーの広告が有れば変遷が追えるかもですが、如何ともしがたいです。
元々無いから無いのか、有ったが無くなったのか、ここが実に悩ましく決め手に欠けます。
小さな広告も大事な資料
始まりとなった件の栞は情報量こそ少ないものの、ロマンスカーの存在を示す貴重な資料です。
特に資料がまず見つからない為に、これ1つだけでも単発で終わらず、ある程度の期間や地域での宣伝があったことが分かります。
何よりロマンスカーは、近江鉄道の戦後復興期での観光バス事業の一翼を担った大切な存在です。
近江鉄道の観光事業は昭和40年頃に躍進しますが、その礎を築いたとも言えるかもしれません。
また、ロマンスカーが戦前から続く言葉と思うと、新しいバスが台頭してきた高度経済成長期は改めて新しい時代の始まりだっだと感じます。
そうした様々なことに想いを巡らせられるロマンスカーは愛おしく、今回偶々出会えたことは実に運が良かったです。
SDExpressはカメラに採用されるのか?その問題点とCFexpressとの関係
最近、Nintendo Switch 2にSD Expressが採用されるとの噂が流れ話題となっています。
もちろん公式に発表されてないので、まだ確かとは言えません。
ただ、SD Express自体は既にちょこちょこ出始めているので存在感を増してきています。
特にカメラに採用されるのかは、写真を趣味にしている者としてかなり気になる点です。
そこで、SD Expressが求められる理由から、CFexpressとの関係まで一通り調べてみました。
個人的には、まずカメラではCFexpressの方がより適しておりSD Expressには弱点が目立つというのが結論です。
なぜSD Expressが必要?
まずSD Expressが求められるようになった理由は、大きく次の2つです。
- 性能不足
- 需要の減少が予想される
SDは現在一般に手に入る一番速い規格のUHS-IIで、理論値が312MB/sしかありません。
これではパソコンやスマホに内蔵される記録装置やUSBなどと比べ性能差が生まれるため、現時点でも問題となっています。
将来的にもこれらを基準にし考えられていくので、今のSDでは深刻な性能不足に陥ることは想像に難くありません。
さらに、SD需要の低減が予想されるのも追い打ちになっています。
特にスマホでの採用が減っているのが、この最大の要因です。
そもそもSDは10年くらい前にも需要に陰りが見え、少し危ぶまれたことがありました。
これは、当時SD需要の最大の担い手であるカメラの需要が頂点を過ぎたことが理由の1つです。
一方SDはスマホに採用され、むしろさらなる飛躍を遂げ今の地位を築きます。
それ程、SDにとってスマホ需要は無くてはならない大黒柱だったのです。
しかし、最近そのスマホにSDが採用されないことが増えています。
先の性能不足も、やはり大きな要因の一つです。
他には、スマホ内部がギッチギチで凄く大変という理由もあります。
極小のnanoSIMが生まれたことからも、この事情が伺えるでしょう。
日常の感覚だと極わずかでも、精密機器では部材が入るかどうかを左右するのです。
それなのにバッテリーは大きくしてとか、カメラを複眼化してとか要求されたりします。
ならば、性能不足のSDを首にしてしまえとなるのは当然の帰結です。
またSDを普段から抜き差しするのは少ないとされ、内蔵の方を強化すればいいとも考えられます。
ちなみに、SDのより高速な規格にするにしても部品点数が増えるので結局難しいです。
こうした理由から、今後はSD対応のスマホがさらに減っていくことは避けられない状況にあります。
むしろクラウドやらCFexpressのカードリーダーを使いやすくするなど、SDが不要になる理由が増えてさえいるのです。
そして、この需要の減少もありSDの後継規格は単に高性能になれば良いわけでは無くなりました。
つまり、SSDにも使われ業界で標準的となっているPCIeとNVMeを採用したのです。
これによって大きなスケールメリットを確保でき、規格の安定につなげられます。
競合するCFexpressで同じ選択をしたことからも、その重要さが見て取れるでしょう。
ただ、この抜本的な改革は逆に重大な問題をもSDにもたらしたのです。
SD Expressの問題
SD Expressでは従来のSDとは中身が一新しており、性能面で大きな飛躍を遂げました。
一方、従来のSDとの互換性をどうにか維持しようとした為にかなり無茶をしてしまったのです。
これにより、大きく次の2つの問題が指摘されます。
- 中途半端な互換性
- 無理やり感のある更新による弊害
まず今までのSDとの互換性があるとは言うものの、それは完璧なものではありません。
つまり、UHS-Iまでしか互換性が無いのです。
UHS-II以降だと、形状は同じなので使用することは出来るものの制約が発生します。
簡単に言うと、以下の場合でUHS-Iとしか動作しなくなるのです。
- UHS-II以降のSDをSD Express対応の機器で使う
- SD ExpressをUHS-II以降に対応した機器で使う
そのため、性能がかなり低減されるだけではなく、非常にややこしく面倒なことになりそうです。
ただ、UHS-IIが使われているのはカメラ界隈くらいなので混乱が起きても限定的かもしれません。
UHS-Iまでのスマホやゲーム機などは、そもそも気にする必要はないでしょう。
需要の少なさゆえか、カメラ界隈には癪な話です。
しかし、次の問題はより広く関係するSD Expressの根本的な欠陥とさえ言えます。
要は従来のSDとの互換性を維持した代償で、例えば大きなものでは次の2つです。
- コントローラがUHS-Iにも対応させる必要があり特別仕様になる
- 増大する発熱に対応した構造ではない
SD Expressの利点には、前述の通り標準的な規格を使うことでのスケールメリットがあります。
けれどもSD ExpressではUHS-Iにも対応させなければならず、どうしてもコントローラを特別仕様にする必要があるのです。
そのため、余計な手間暇が発生するでしょう。
あと気持ちの問題かもですが、余計なものを足すと妙な挙動を引き起こしそうで心配になります。
次の増大する発熱の問題では、今まで通りの構造を引き継いだことが深刻な弱点です。
そもそもな話、SDが生まれたのは20年以上前であり最初は確か理論値でも十数MB/sくらいでした。
対してSD Expressは100倍近く、将来にはそれ以上ですから土台無理があるのも当然です。
これは大きなデータ量をやり取りし続けるカメラ、静止画での連写や動画撮影などで特に問題になると考えられます。
こうしたことから、SD Expressにて飛躍を遂げたは良いものの中途半端なものになってしまいました。
ここが競合するCFexpressには、逆転の一手を打ち込む隙となったのです。
特に互換性が十分に確保できていれば、もっと話は違ったでしょう。
SD ExpressとCFexpressの関係
SD ExpressとCFexpressの関係にて最初に押さえておくべきことは、策定した団体が違うことです。
SD ExpressはSDアソシエーションによって、CFexpressはCFアソシエーションによってそれぞれ策定されました。
そのため、メモリーカードという括りは同じですが両者は基本的に競合する存在です。
例えるなら、ビデオテープのVHSとベータみたいな関係でしょう。
かつては他にもいくつかあったものの、上手いこと住み分けられたので2つの勢力は生き残れました。
SDは大きさや安価なことなどからより広く普及し、一方でCF勢は容量や速度の性能面により今の地位を死守したのです。
しかし、その住み分けも常に保たれてきたわけではありません。
例えばUHSやSDXCなどがSDに導入されて、性能が良くなるたびにCF勢は追い詰められてきました。
そして、今回のSD ExpressではCFexpressにTypeCを除けば性能面でほぼ並びました。
SD8.0ではTypeBと同じ2レーン仕様と、PCIe4.0への更新が予定されています。
もちろん、策定しただけの段階なので実際の製品はまだです。
しかし、速度や容量の面でCFexpressはまず優位に立てない前提で考えるべきでしょう。
その前提からは、SD Expressの方が有利な点が多く見えてきます。
例えばゲーム機などに採用されればより大きな量産効果を得ることができ、特に価格面で優位に立てる可能性が高いです。
さらに、SD Expressにはより小さい形状があるのでより多くの機器への採用が望めます。
搭載できなければ何の意味もないので、精密機器にとって大きさはことさら重大です。
おそらく、この問題がCFexpress TypeAを用意した理由の1つと考えられます。
当初CFexpressには、CFastとXQDの内部分裂状態を解消しXQDを基本にしつつ改良した今のTypeBしかありませんでした。
この時はTypeBではなく、単にCFexpressと呼ばれています。
そこにTypeAとTypeCが新たに加えられて、TypeBと呼び分けられたのです。
また、TypeAではSDの後継規格とも呼ばれるようにSDの後釜を目指してるのでしょう。
確かにCFexpressが生き残るには需要を増やすのが肝心で、今のSD需要をどれ程取り込めるかは今後を左右します。
少なくともカメラ界隈では圧倒したいのが、やはりCF側の本音かもしれません。
CFexpressの方が良い理由
SD ExpressがCFexpressに対し優れている点では、まず次の2つがあります。
- microSDがある(より小さい機器にも採用できる)
- ゲーム機などより普及している規格なのでより大きな量産効果が見込める
ただ、カメラにおいてどれ程の価値を持つか疑問もあります。
1つ目のmicroSDは、特にミラーレスにおいてあまり見かけません。
さらにゲーム機での需要の今後や、それ以外での採用が増えていくのかも気になる所です。
例えばmicroSDは小さいことが魅力ですが、それ故に内蔵メモリと競合しやすいです。
日常的に出し入れが少なく、入れっぱなしの場合もスマホなどで多かったとされます。
結局、それなら内蔵メモリを増やせば良いとなるのです。
他にも理由はありますが、スマホでは実際に採用が減っています。
なので、SD Expressはスマホでの需要が見出だせるか不透明な状況です。
それ以外の需要もあるかもですが、有力なものは見当たらないかと思います。
つまり、ゲーム機需要だけで今は考えるしかありません。
これでどこまで行けるのか、少なくともスマホに採用されていた頃みたいには期待できないです。
また、価格ももちろん大事ですがメモリーカードは記録に関する極めて重要な存在で安ければいいとは言い切れません。
つまり、実用の面ではCFexpressに軍配が上がると考えられます。
特に発熱の問題は、SD Expressの古すぎる構造だと不安です。
この構造の限界さは、端子部の増設具合からも見て取れます。
対してCFexpressでは、当初からPCIeの高速性能を想定して策定されました。
例えばNextorageのTypeAは全面がプラスチックにも見えますが、実は放熱板を仕込むなど熱への対策が施されています。
世界初1次世代メモリーカード 「CFexpress Type A メモリーカード」 開発・製造開始のお知らせ – Nextorage
ソニーのTypeAに関してもNextorageが手がけているとされるので、まず同様の構造でしょう。
と言うよりも、上記のサイトは年月日から考えるとソニーのに関する発表かもしれません。
他のTypeAやTypeBにしても金属の筐体を使うなど、当然対策していると考えられます。
このメモリーカードの発熱は、通信速度が上るほど増えていくのが基本です。
つまり、根本的な解決は難しいため今後も悩ましい問題であり続けます。
中でもカメラは高速度を維持し続ける場面も多く、一方でパソコンの様なヒートシンクやファンなどを搭載できるとは限りません。
そのため、カメラの熱問題はより困難になり対策ができるなら少しでも積み重ねる必要があります。
この点から、やはりカメラではCFexpressを中心に今後も進めていった方が良いかと思います。
共存はあるのか?
メモリーカード界隈全体であれば、SD ExpressとCFexpressは共に生き残れるかもしれません。
ただ、カメラ界隈で限るとやはり難しくなると考えられます。
両者は基本として競合する存在ですし、共存させる利点も特別な事情も無いからです。
むしろ別々に開発するものが増えるなどの、余計な手間がかかるでしょう。
逆に同じ規格内なら、例えばアダプターを利用できたりします。
microSDからSD、CFexpressTypeAからTypeBという具合です。
SD ExpressからCFexpress TypeBでは、できそうな雰囲気は一応ありますが、UHS-Iに対応してることが邪魔しそうです。
それに公式でない想定外の使い方となってしまい、その点でもお勧めできません。
なので、やはり素直にどちらか一方を基本に進めていくのが良いかと思います。
もちろん、全てを一方だけにそろえることは難しいでしょう。
ドローンやアクションカムなど、大きさの問題からmicroSDでないと難しいものもあります。
ならばSD Expressでとなっても、ミラーレスなどは実用面でCFexpressが適してしているのは前述した通りです。
つまり、結局は適材適所なのは間違いありません。
それでも、ミラーレスでくくるなら今のままCFexpressでほぼ占めるようになるかと思います。
何より、ここからまた新しい規格に移るのは本当に面倒くさいですし理由もありません。
カメラはやっぱりCFexpress?
カメラにSD Expressが採用されるのかについては、少なくともミラーレスでは考え難いかと思います。
現状CFexpressの普及が進んでおり、改めて新しい規格に手を出す理由が無いのが大きいです。
もしSD Expressを採用するのなら、何故わざわざTypeAを作ったのか意味が分かりません。
CFexpressの策定には、ソニーやニコン、キヤノンといったカメラメーカーも深く関わっています。
そしてCFexpressで行くと決めたのなら、より多くの機種に採用し普及を加速させて欲しいです。
次世代規格への移行自体は避けられぬ運命なので、もはや遅いか早いかの違いでしかありません。
中でもTypeAとBの使い分けは、そろそろ明確にした方が良いかと思います。
TypeBをどの機種までどの様にして採用するのか、大いに疑問です。
CFカードなどより小さくなったとは言え、SDよりも大きく同じ様に採用するのはまず難しいでしょう。
こうした諸問題を片付け、カメラでの次世代規格のあり方が早く決定されれば良いなと思います。
そうすれば、今後何を選べば良いかなど使う側での方針も決めやすくありがたいです。
年末に妄想するカメラのこれから|2024年コシナ編
年末なので適当にカメラについて話す回、最後はコシナです。
これについては、本当に個人的な話です。
そして、主観的な見解が多分に含まれています。
また、先にソニー編とキヤノン編を書きましたので、お時間があればお読みください。
BESSAの復活はあるか?
今年はPENTAX 17が登場したことで、フィルム界隈が大いに盛り上がった年でした。
ならばこのビッグウェーブに乗るしかない、そうコシナには思います。
ただ、コシナとしては商業的に成り立たないそうで難しいと言われました。
フィルム需要の小ささもそうですが、コシナがレンジファインダーで儲けられる割合が少ないというのです。
例えば測光やシャッターに関わる技術は、残念ながらコシナにはありません。
しかし、PENTAX 17の登場で光明が見えてきたのではないかと思うのです。
例えば次の様な考え方や手法はどうでしょうか?
- 測光やシャッターはペンタックスと協力する
- レンズを売るための布石とする
- クラウドファンディングを活用する
まず1つ目は、コシナの持ってない技術をどう用意するかに対する一手になります。
ペンタックスが将来開発するであろう35mm判の技術を、コシナでも使わせてもうのです。
コシナだけではそこまで需要が見込めず開発が難航するかもしれませんが、これなら超えやすくもなるでしょう。
反対に、ペンタックスとっても悪い話ではありません。
なぜなら、今現在のフィルム機の最大の問題はフィルム需要の少なさにあるからです。
これによりフィルムの生産が安定せず、入手困難になる上に価格の上昇が続いています。
さらには現像関連の需要も下がり、要はフィルム写真そのものが危機的状況なのです。
そのため、ペンタックスとって喫緊の課題はカメラよりも、この需要の問題にどう立ち向かうかにあるとさえ言えます。
そして、その最も効果的な対策がやはり仲間づくりなのです。
ペンタックスだけでは呼び込める需要に限りがあるのは目に見えており、何か別の要素が必要なのは間違いありません。
そう考えた時、コシナは次の理由でぴったりです。
- レンジファインダーの技術を持っている
- 質感の高い、ものとして愛でられるもの作りをしている
特に2つ目は、フィルム機とって最早なくてはならない要素です。
使っていて楽しい、操作感が心地良い、こうした自分で撮る面白さがフィルム機の大きな魅力になっています。
次の問題は、コシナがフィルム機を作る利点は本当にないのかです。
これについては、やはりあると私は考えます。
その最たる理由は、ブランド力を強化し埋没しない為です。
昨今、海外の特に中華系のレンズメーカーの台頭が目立ってきています。
性能も十分に良いものが出てきていますし、何より価格の安さが魅力です。
特にコシナはMFの単焦点レンズしか作っていないので、レンズ性能や作りの良さだけでは早晩厳しい戦いになるでしょう。
ズームやAFであればより技術力が問われますし、作れるレンズの幅も広いです。
実際、最近はこれまでになかったズームレンズが各社から出てきています。
ただ、無い物ねだりをしたって仕方がありません。
何よりコシナは小さい会社ですので、下手に手を広げるよりも今持っている魅力をとことん深める方が良いかと思います。
そこで、フィルム機の開発なのです。
カメラはレンズだけでは成り立たず、カメラ本体と合わさって機能します。
そのためカメラ全体を担うことができれば、自分達の世界観をより強く印象的に表現できるのです。
こうすれば、そこらのメーカーとは一線を画す存在と認知されることになり、平たく言えばブランド力が向上します。
そして、それが出来るのはもう今しかないと思います。
埋没してからでは遅いですし、何より技術の復活は早いに越したことがないからです。
使われなくなった技術はすぐに忘れ去られてしまい、時間とともに復活の難易度が上がっていきます。
それでも、元手が無ければどうしようもありません。
しかし、そこで最後のクラウドファンディングはどうかと思うのです。
この方法では元手が得られる以上に、需要がある程度予測できるという利点があります。
全く分からない状態で踏み出さずに済み、色々な要望も吸い上げることも出来るでしょう。
ここまで本当に適当に書き、本当にコシナには申し訳ない限りです。
でも、年末にいい夢を観させていただきました。
来年も相棒のカメラとともに、楽しい写真生活が送れそうです。
ここまでお付き合いありがとうございました。
年末に妄想するカメラのこれから|2024年キヤノン編
年末なので、適当に来年以降のカメラについて書いた雑文です。
今回はキヤノンの話をしていきます。
なお、先にソニーの話もしているのでもし時間があれば読んでみてください。
望遠単焦点の駆動装置はどうなる?
個人的にキヤノンで今一番気になっているのが、第2世代の望遠単焦点の駆動装置が何になるかです。
カメラではないのかと思うかもしれませんが、それは今年ので一旦落ち着きました。
なお、ここでの望遠単焦点は次の4本を指します。
- RF400mm F2.8 L IS USM
- RF600mm F4 L IS USM
- RF800mm F5.6 L IS USM
- RF1200mm F8 L IS USM
つまり、Lレンズの望遠単焦点です。
では何故これらのレンズの駆動装置が気になるのかというと、ミラーレスになりAFに大きな変化が起き駆動装置に求められることも変わったからです。
まず動画需要の高まりと共に、ミラーレスでもしっかりと応えられることが求められるようになりました。
この動画撮影では、ピントを合わせている最中も記録されることが静止画との最も大きな違いです。
なので、滑らかで静かに動く駆動装置が必要となります。
さらに静止画の撮影でも大きな変化が起きていて、先の望遠単焦点ではこっちの方が重大かもしれません。
一言で言うと微細駆動で、大きく次の2つの要因で求められるようになりました。
- 被写体認識AF
- 連写コマ数の激増
これら2つの課題は、一眼レフからミラーレスへの変化で求められるようになったことです。
1つ目の被写体認識AFでは、人や動物の瞳など特定の非常に細かい物体を認識して追従することが出来るようになりました。
当然、レンズの駆動装置がこの細かい上に細かく動く物体に合わせて動けなければ真価を発揮できません。
さらに次の2つ目でも、やはり細かい動きが求められます。
一眼レフではフラグシップでも十数コマだった連写が、ミラーレスでは数十コマ、ソニーのα9IIIに至っては120コマにまで達しているのです。
EOS-1D X Mark IIIではライブビュー撮影で20コマで撮影できますが、それでも差がある上に例外かと思います。
それを一眼レフの撮影と言っていいのか、そもそも微妙な所でしょう。
それはともかく、こうなると10倍速く動かせばいいといった単純な話ではありません。
より短い時間で、より精度を高め、より微細に素早く動かす必要があり、難易度は指数関数的に増大しているそうです。
こうした変化を受けてか、キヤノンではリングUSM以外のナノUSMやステッピングモーターが採用されることが増えています。
これらの駆動装置は、リングUSMに比べて微細駆動が得意なのです。
少し古い記事ですが、キヤノンの方がそれをうかがわせる内容が述べられています。
第4回(特別編)開発者に聞いた「F2.8 L IS シリーズ」のヒミツ
実際、今でもミラーレスになって設計されたレンズではリングUSMの採用は次の4本だけです。
- RF28-70mm F2 L USM
- RF50mm F1.2 L USM
- RF85mm F1.2 L USM
- RF85mm F1.2 L USM DS
一方で、先の望遠単焦点もリングUSMを採用してはいます。
ただ、これらは基本的に一眼レフの頃の設計とそれに専用のテレコンを内蔵し焦点距離を伸ばしたものです。
もちろん、マウントを変えるにあたり色々と手を加えているとは思います。
それでも、やはり抜本的とまでは言えないでしょう。
それ故に、ミラーレス専用設計になったらどうなるのかが気になるのです。
中でも、前述の通りミラーレスではAF関連に大きな変化が生まれました。
これに対しキヤノンがどう応えるのか、実に気になります。
同じくリングUSMを採用するなら、先の苦手を克服する新しい技術がいるはずです。
他にも、より細かくより多く動かすので耐久性を上げる必要があるかもしれません。
あと振動を抑えないと、回転方向のブレが目立つ可能性もでてくるでしょう。
反対に新たな駆動装置に手を出すのなら、いったい何になるのか興味深いです。
先のナノUSMやステッピングモーターでは、これらの重いフォーカスレンズを動かすには文字通り力不足で適してはいません。
それでも工夫して採用するのか、あるいは最近登場したリニアモーターといった手もあるでしょう。
もちろん、結局はコマ数や光学設計など何をどう想定しどんな設計をするか次第な所があります。
そのため、外野にはどれが一番かはさっぱりです。
加えて、これらの望遠単焦点が直ぐに出るとも思えません。
しかし、何れにせよ1つの画期となりそうなので注目して待ちたいです。
EOS R6MarkIIIは立ち位置は?
次に気になるのは、技術的な話とは少し違いますが、EOS R6MarkIIIがどの様な立ち位置で出てくるのかです。
これはフィルムからデジタル、一眼レフからミラーレスの変化で、カメラの商品展開にも変化が生まれたことに端を発します。
要するに、フラグシップを頂点とする階層構造が崩れてきているのです。
まず、階層構造が形成されるには単純な指標が必要となります。
身分制社会では身分や生まれ、学歴社会では学歴といった具合です。
カメラで言えば、かつてはAF性能がその1つに挙げられるでしょう。
連写コマ数やAE性能なども、それに準じれば良かったのです。
例えば高いAF性能が必要なのに、連写コマ数は要らないのはちょっと考えにくいでしょう。
しかし、カメラのデジタル化と共に指標が複雑化ししていきます。
なぜなら、撮像素子はフィルムよりも多くのことができ、その個性がカメラの個性にもなったからです。
この変化は、撮像素子の個性がより前面に出るミラーレスで顕著となります。
例えばソニーの商品展開は正にその通りとなっており、撮像素子のメーカーならではの発想です。
別の見方をするなら、カメラで出来ることが増えた分、より使う側の目的に沿うことが求められるようになったとも言えます。
そうなると、階層構造に押し込めることがむしろ足枷となりかねません。
現行のEOS R6MarkIIがCFexpressを採用しなかったのも、その一つに見えてしまうのです。
近しい価格帯のソニーα7IVや、ニコンのZ6IIなどでは採用されているので余計にそう思えます。
なので次のEOS R6MarkIIIでは、他機種との関係よりも、まずは自分の役割に徹してほしいです。
特にキヤノンでは、EOS R1やEOS R3と似た個性を持つカメラがあり少々ゴチャついています。
この中でEOS R6MarkIIIがどの様な個性を打ち出すのか、期待して待ちたいです。
上の2ついずれかを小さくしただけの機種なのか、また別の個性を持つのか気になります。
また、EOS R3もEOS R1の登場でお株を奪われたので今後の展開がどうなるのか注目したいです。
なお、階層構造が必ずしも悪いわけではありません。
少々下世話ですが、例えば予算を基準にカメラ選びをする人には効果的です。
つまり価格が上るほど性能も上がる仕組みは分かりやすく、あと少し出せばもっと良いのが買えますよと伝えやすくなります。
他にも憧れの存在として君臨させることで、ブランド力をもたせることも可能です。
上手くすれば、メーカー全体のブランド力向上にもつながります。
なので、この点を考えると少なくともフラグシップはあった方が良いでしょう。
年末に妄想するカメラのこれから|2024年ソニー編
気づけば年末、と言うことで適当なカメラのこれからの話です。
来年、もしくはその先のカメラで気になることをゆるくゆるゆると書いてみました。
まずはソニーから始めていきます。
α7SIVが気になる
ソニーでまず気になるのが、α7SIVです。
巷ではシリーズの存続について色々言われていますが、まだまだ出来ることはあるかと思います。
個人的には、次の3つの技術に注目したいです。
これらは上2つがスマホにて、一番下はα1やα9などにて既に採用されている技術です。
なので、少なくとも絵に描いた餅ではありません。
まず一番採用されて欲しいのが、全画素オートフォーカス技術です。
その中でも、Octa PD方式が採用されれば画期的と言えるでしょう。
全画素オートフォーカス技術と言えばAFなので、α7SIVには合わないように思えるかもしれません。
しかし、特にOcta PD方式では次の2点の利点があり、暗所とダイナミックレンジに特徴のあるα7SIVに相応しいかと思います。
- 暗所でのAFが強くなる
- リアルタイムHDRが出来る
1つ目の利点は、全画素オートフォーカス技術の最大の特徴とも言えるものです。
撮像素子は要するに光の強弱を電気信号に変える装置なので、像面位相差もそれを元にピントを合わせています。
従って暗所では電気信号が弱まってしまい、ノイズの影響で十分な性能を発揮できなくなるのです。
それに対し全画素オートフォーカス技術であれば、全ての画素で位相差情報を得ることができます。
そのため、それらの情報をまとめることでノイズの影響を抑えられるのです。
通常の像面位相差では、ここまでの密度にすると画素欠損が大きくなるので出来ません。
例えばキヤノンのAFが暗所に強いと言われるのは、やはりここに秘訣があると思われます。
ちなみに、暗所でのAFが強くなれば暗いレンズにも恩恵が生まれるでしょう。
つまり、暗い分小さく安めの望遠レンズなんてのも使いやすくなるのです。
ソニー使いの間では、この要望が多い気がします。
次にリアルタイムHDRですが、これはどちらかと言えばQuad Bayer配列による機能です。
Quad Bayer配列では、4つの画素が同色の一塊となりベイヤー配列を形成しています。
これにより例えば1200万画素になったり、4800万画素になったり出来るのです。
リアルタイムHDRでは、この4つの画素の内2つを標準、残り2つを明るいのと暗いので分けます。
そうすると、1回の撮影でHDR写真が撮れるのです。
あと1200万という画素数にするなら、α7SIVが一番ふさわしく思えます。
これら全画素オートフォーカス技術や、Quad Bayer配列についてより詳しくは下記のサイトを参考にしてみてください。
全画素オートフォーカス技術 | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ
Quad Bayer Coding | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ
さらに、ここに2層トランジスタ画素が加わればもっと高感度に強くなる可能性があります。
ついでに、先と同じ様な理由で暗所のAFにも効果があるでしょう。
ただ、最近スマホに採用されたばかりで大型センサーにはまだ厳しいかもしれません。
また、価格の点からもここまで最新技術を盛り込むと恐ろしすぎます
少し先にして、高画素の分高感度が弱くなりがちなRシリーズに採用するのも一手かもしれません。
画素数は今のままにして、この方が使い勝手が良くなる気がします。
それからメモリー内蔵のセンサーですが、これはあれば嬉しいぐらいです。
特にリアルタイムHDRなどを実現しようと思うと読み出す情報量が増える為、この技術が鍵になります。
一方で読み出し速度を上げすぎるとノイズが増えてしまうので、その兼ね合いも考えなくてはなりません。
α7Vの登場にα7IVとα7CIIの値下げ
そろそろ後継機が出るのではと思われるのが、α7IVです。
ただ、標準機である以上は価格もより重要になるので出来ることはそう多くはなさそうに思えます。
高くても30万前半、出来れば20万台にいて欲しいのが本音です。
この場合、例えば次のことが実現できれば良いくらいでしょう。
- AIプロセッシングユニットの搭載
- 連写コマ数の増加
- α9III系のボディデザインの採用
1つ目はそこまで難しくはなく、むしろ実現出来なければ問題です。
なので注目すべきは、連写コマ数がどこまで増えるかでしょう。
この点について難しいのが、α7IVのセンサーの読み出し速度がそれ程速くはないことです。
つまり高速連写をするならまず電子シャッターになるのですが、ローリングシャッター歪みなどにより使い難くなると予想されます。
一方でこの読み出し速度を上げようとメモリーを貼り付ければ、どう考えても40万くらいになる可能性が高いです。
例えば部分的にメモリーをくっつけた、ニコンのZ6IIIでさえ安くても40万近くします。
そのため、メモリーに頼らない形でどうにかする方法が理想的です。
順当な方法では画素数を減らすことですが、後退と受け止められかねません。
加えて新たにセンサーを開発することになるので、この先どれだけ売り続けられるかを考える必要があります。
こうしたことから、やはり今のセンサーを使い回すことが一番素直な方法です。
特に価格のことを考えると、これ以外の方法は難しそうに思えます。
あるいはローリングシャッター歪みの問題はひとまず置いておき、コマ数だけ改善するのも手かもしれません。
実用性は少し頼りないですが、出来ないよりかは良いでしょう。
奇策としてα9IIのセンサーを使う手も想像しますが、流石に厳しいでしょう。
しかし、せめて40万くらいでBIONZ XR世代の高速連写機がソニーにはないのでα7Vとは別に検討しても良いかもしれません。
次に期待したいのが、α7Vの登場に伴うα7IVの戦略的な値下げです。
希望だけで言えば、20万前半になればと思います。
ついでに、α7CIIも安くなればかなりいい感じです。
この値下げと一緒なら、α7Vの価格帯が上がってもまだましかもしれません。
また、価格帯が上がるなら出来ることが増えるので、α7Vの性能面で期待できることも増えます。
もちろん、より安い機種を開発する方法も考えられるでしょう。
ただ、安くしたα7IVよりも魅力的な機種に出来るのかが問題です。
当然、それより高くなることは許されません。
そうなると出来ることはかなり限定されるので、結局は安いだけでちょっと高くてもα7IVが良いとなれば元も子もないです。