湖国探遊記

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CFexpress TypeBやTypeAは今後どういった展開を見せるのか?SDからの移行問題を中心に

以前、次世代メモリーカードについてまとめてみたのですが、あれこれ書き足りないことに気づき続編を書いてみることにしました。

つまり、より具体的なCFexpressが直面している課題についてです。

 

確かにCFexpressは、それなりに上手く普及し始めてはいます。

しかし、特にSDからの移行を中心に考えてみると課題も幾つか出てきており、それは使う側にも影響しそうな問題でもあるのです。

例えばCFexpress TypeBが今後どう展開するのかや、TypeAの価格などについて考えてみました。

 

なお、かなり長くなってしまったので最後のまとめから読んだ方が分かり易いかもしれません。

それとこの話の前提にもなるので、もしよろしければ下の記事もぜひ参考にしてみてください。

CFexpressはSDに代わる次世代メモリーカードになれるのか?性能面だけでない後継規格が求められる理由など - 湖国探遊記

根底にあるポストSD問題

次世代メモリーカードにおいて何より押さえておきたいのが、ポストSD問題です。

勝手にこう名付けたのですが、要するにUHS系統のSDに規格としての先が見えてしまったので、SDに代わる次世代メモリーカードを考える必要が出てきたという問題を指しています。

 

もちろん、今日明日、来年再来年程度で急に進む話ではありません。

ただ、限界が明らかに予測できる為に動かなければいけない時期にきているのは確かです。

 

カメラでは、8K動画や高画素化などのよりデータ量の多い撮影がどの様に普及するかがこの問題に関わってくるでしょう。

また、この問題にはカメラだけでなくスマホやパソコンなども関わってきます。

話が広がり過ぎるので割愛させてはいただきますが、いずれも今のSDだと不足し始めているのは間違いありません。

 

要するに、この次世代メモリーカードは一部の上位機種に限らずカメラ全体に関わる話なのです。

例えばSDと次世代メモリーカードとの併存は、この先もずっと続くものではないでしょう。

 

そして、その視点に立つと順調に見えるCFexpressの問題点も見えて来るのです。

特にTypeBでは、SDに代わる存在になるのが難しいことに起因します。

依然として圧倒的なSD需要

前述した通りSDからの移行は重要な課題ですが、今後はより難しくなるかもしれません。

やはりSD需要が今はまだかなり固いこと、さらに次世代メモリーカードの関心がより薄い層へと働きかけていく必要があるからです。

 

最近はCFexpressが話題に上ることが増えてはきましたが、これはカメラに深く関わっている層が発信する側にもなる影響が大きいと考えられます。

つまり、仕事や本格的な趣味の層を中心に需要が出始めていると予想されるのです。

一方で、一般的な普及はまだまだで全体を見ればSDが依然大半を占めているのが現状でしょう。

これは、各メーカーの主力を担うカメラでもSDしか使えないことからも伺えます。

例えばX-T5、EOS R6Mark II、LUMIX S5II、Z 5などがそうです。

 

また、カメラに積極的な関心がある層ではCFexpressへの移行でもより自発的に選択してくれると考えられます。

しかし、今後はそこまで関心が高くない層へと目を向けなくてはなりません。

こうした層では価格の問題をより重視したり、手持ちのメモリーカードをそのまま使うことも多いでしょう。

そもそも高速連写や重い動画撮影などしないのなら、カメラを使う分には次世代メモリーカードの恩恵をあまり感じられません。

 

そのため、こうしたSDの需要に応えながらもCFexpressへの門戸も開ける工夫の両立が望ましいと考えられます。

具体的に言うと、SDとCFexpressの両方に対応したカメラです。

ただ、そう考えた場合にTypeBでは厄介な問題があると考えられます。

CFexpress TypeBの大きさによる問題

まずSDの代わりになるのかどうかという視点で考えると、CFexpress TypeBには次の2つの問題が浮上します。

  • SDに比べCFexpress TypeBは大きすぎる
  • 同じスロットでSDとCFexpress TypeBの両方に対応するのが極めて難しい

まず、CFexpress TypeB、TypeAとSDの大きさは次の通りです。

  • TypeB:38.5×29.8×3.8mm
  • TypeA:28×20×2.8mm
  • SD:32×24×2.1mm

この様にTypeBとSDを比べると、数mm程度全体的に大きいです。

1mmより下の単位で部品を詰め込む昨今の精密機器にとって、この差は大きいと考えられます。

 

例えばTypeBを搭載するミラーレスでは、TypeBのスロット2つのダブルスロットを実現した機種が現時点ではほとんどありません。

もちろん、ミラーレスの中でも特に大きいニコンのZ9だと実現出来てはいます。

ただ、スロットが一部重なる様に配置されていることから少し苦労したのかもしれません。

熱の問題を考えても、全く重ねないで縦に並べるのが放熱に有利と考えられるのでこうする必要は無いはずです。

他に色々考えても理由が見当たらないので、TypeBの大きさによる配置ではないかと思われます。

 

ちなみに、重ねる様に配置する場合は間に熱を籠らせない工夫が必要です。

例えば一眼レフのD6は、この対策なのか間の壁が少し厚くただのプラスチックとは違いました。

 

この様にSDの代わりとすると、やはりTypeBではボディサイズに制約が出たり、ダブルスロットを諦めたりしなければならないでしょう。

 

さらに、SDからの移行を考えると同じスロット穴で両方に対応できないことが枷になります。

 

実現が難しい理由は、TypeAと比較すると分かり易いです。

つまり、TypeAとSDでは次の2つの要素がかみ合いこれを実現できています。

  • TypeAの方が厚くSDの方が幅広なので、凸型の様な穴にすれば両方を上手く固定できる
  • TypeAもSDも端子が露出した形状なので、穴の両側に配置すればひっくり返して接続できる

一方でTypeBとSDでは、どこもTypeBの方が大きいのでSDを穴の中で固定出来ません。

さらに、TypeBは端子が露出しておらずTypeBの穴にスロットの中の端子を差し込む構造となっています。

要は接続する側の端子が真ん中付近にあるので、SDとの干渉に気を使う必要があるのです。

これらの理由から、仮に実現するにしてもかなり複雑な機構が必要と考えられます。

正直、実現はかなり難しいでしょう。

 

なお、TypeAでは同じ穴にてSDと兼用できるスロットがありますが、これらは本来なら全く出自が異なる規格です。

つまり、SDのUHS-IIに対応していればUHS-Iも使える様な下位互換性などはありません。

そのため、それぞれに対応する為に別々の回路を用意する必要があると考えられます。

具体的な仕組みは不明ですが、どちらか単体の回路と比べて増えているはずです。

従ってそれぞれ別のスロットを用意するよりは小さく済みますが、単体のスロットよりかは場所を取ってしまいます。

要するに、TypeA単体では搭載可能でも兼用するスロットは難しい大きさの機種もあるでしょう。

なので、TypeAの場合でも兼用スロットの限界はあります。

 

一方でTypeBだと、何れにせよSDに対応させるなら別々のスロットにするしか方法がありません。

つまり、もし2つスロットを採用できるボディサイズでないとどちらか一方だけしか採用できなくなります。

そして、これもあってSDからの移行がTypeBでは非常に厄介なことになると予想されるのです。

TypeBの普及における難しさ

先程の問題から、TypeBを採用しようとすると次の3つ採用方法が考えられます。

3つ目のスロットがあれば別ですが、ミラーレスの大きさでは流石に難しいでしょう。

  • TypeBのみのダブルスロット
  • TypeBと異なるメモリーカードのダブルスロット
  • TypeBのみのシングルスロット

この中で、SDの需要に応えられるのは2番目の方法だけです。

なので、今はSDを採用する機種ではまずこの方法を挟むのが良いと考えられるのですが次の2つの問題点があります。

  • 異なるメモリーカードでは速度差などから機能に制約が生まれる
  • ダブルスロットを採用できるボディサイズでなくてはならない

本来のダブルスロットは、まず同じ種類のメモリーカードを搭載したものです。

そうでなければ速度の遅い方に足を引っ張られるので、次世代メモリーカードの真価を発揮し難くなってしまいます。

もちろん単体で使えば発揮できますが、それだとダブルスロットではありません。

 

こうしたことから、異なるメモリーカードを搭載したダブルスロットでは速い方に統一して欲しい要望が当然出てきます。

ただ、そうすると今度はSDを切り捨てなければなりません。

つまり、統一かSDかのどちらかを選択する必要があるのです。

 

この判断は非常に厄介な問題で、まずSDの需要を慎重に見極めねばなりません。

下手な時期に切ると、SDが使えないことで他のメーカーに移ってしまうことさえ考えられます。

例えばニコンのZ 6、Z 7で、特にZ 6対してこの価格帯でSDが使えないことに否定的な意見も多く見られました。

 

しかし、かと言ってゆっくりとTypeBが普及し価格がこなれてくるのを待つわけにもいきません。

なぜなら、それだと先程の統一しない不満が無視されてしまいます。

そのため、例えばソニーがα7IIIでもメモリースティックに対応した様な、使う側からもういいとの意見が多くなってから移行するやり方は難しいでしょう。

 

つまり、使用者側が予期しない時期にメーカーがSDを辞める決断をする可能性があるのです。

使用者側だと、ここがSDからTypeBに移行する際の一番厄介な問題ではないかと思います。

せっかく高いSDを持っていても、新しい機種で使えるかどうか全く読めないのです。

他には中古で安く始めようとしても、次の機種に使えなさそうなメモリーカードを買う必要が出るかもしれません。

すると、そこでまたメモリーカードを買い直す費用が発生し本末転倒です。

これがZ 9の様な機種であればそうした方法でも応じてくれるかもしれませんが、やはり一般には厳しいかと思います。

 

さらに、それはダブルスロットを採用できない様な機種ではより顕著な問題になるでしょう。

この様な機種の場合、SDかTypeBの二者択一になってしまいます。

しかも、より一般層に向けた機種にもなるのでTypeBほどの性能を求めておらず、ただ高いだけに思われるかもしれません。

 

そもそも、この辺りの機種ではTypeBを1枚だけにしても搭載できなそうな機種も沢山あります。

そのため、システム全体ではTypeBとTypeAを組み合わせる方法がまず基本となるでしょう。

ちなみに、こうした上位機種にTypeB、中級機位から下をTypeAというのは規格が策定された際のCF側の考えでもあります。

 

とは言え素直に考えると1つにした方が良い気もするのですが、それは出来ないのでしょうか?

上位機種と下位機種でメモリーカードを分ける必要があるのか?

結論から言うと、TypeBとTypeAで使い分ける程の理由は一般的にはあまり考えられません。

ただ、極限的な条件下でのTypeBの優位性と「現時点では」と但し書きが付く差はあります。

なので、特にこの「極限的な条件」をどれ程重視するかが判断の分かれ目になるでしょう。

規格上の明確な違いによる差とは?

まず、TypeBとTypeAでは大きさの他にレーン数が違い、それに伴い通信速度の理論値が次の通り違います。

  • TypeB:約2GB/s
  • TypeA:約1GB/s

このレーン数の違いは規格で定められたものなので、規格が刷新されない限り変わりません。

つまり、大きさ関連以外の明確な違いは基本的にこの速度に基づくものだけです。

 

ただ、この差がそのまま使用する際に反映されるわけではありません。

カメラ本体性能や周辺環境、その辺りも考慮しなければならないからです。

 

そこで、メモリーカードの速度が大きな影響を及ぼす次の3つの場合を考えていきます。

  • 動画撮影時
  • 静止画での連写
  • ストレージへの取り込み
動画撮影時の違い

動画撮影では、メモリーカードに常に書き込み続けることになります。

この時、メモリーカードには書き込み続けると速度が低下してしまう性質があるために、発生するデータ量に対しその速度が下回ると上手く撮影出来なかったり止まったりするのです。

そのため、動画撮影ではそれより下がらない最低持続書き込み速度が発生するデータ量を超えるかどうかで撮れるかどうかを判断できます。

また、それ故に3つの中で唯一明確な違いを指摘できるのです。

 

それで、CFexpressの最低持続書き込み速度の示し方には次の2つがあります。

  • VPG(Video Performance Guarantee):CFが定める規格
  • メーカーが独自に主張する数値

まず、CFexpressにてSDのビデオスピードクラスの様に最低限の速度を保証することを示すのがVPGです。

これにはVPG20、65、400があり、数値にMB/sをつけた速度を保証しています。

例えばTypeAが多く対応するVPG400は、400MB/s(=3,200Mbps)以上を維持すると分かるのです。

(2023/5/20追記)VPGには他にもVPG130もあるそうです。

 

さらに、こうしたVPG以外にメーカーが独自に主張する数値もあります。

VPGはあくまで「以上」なので、その数値を超える速度も確かに有り得るのです。

この数値では確認した限りLexarの数値が最も速く、700MB/s(=5,600Mbps)を主張していました。

 

そこでこの2つの数値を使い、一般的に手に入る機種の中でも重いビットレートがあるキヤノンのEOS R5 CとニコンのZ 9を目安に考えてみると下の通りです。

なお、Z 9ではProResの詳しいビットレートが分からなかった割愛させていただいています。

また、仕様表のビットレートを超えているかどうかだけで判断したので、数値上の凡その話として考えてください。

これは、速度の余裕をどれだけ持つべきかは考え方にもよる為です。

  • VPG400:EOS R5 Cの記録フォーマットなら全て撮影可能、ニコンのZ 9は高画質のRAWで4K120p、8K50pと60p、標準画質のRAWでは8K60pが撮れません。
  • 700MB/s:EOS R5 Cの記録フォーマットなら全て撮影可能、ニコンのZ 9は高画質のRAWで8K60pが撮れません。

この様に、今のTypeAでは確かにいくつかの記録フォーマットで撮影することが出来ません。

なので、この点に関しては間違いなくTypeBの強みと言えます。

 

ただ、これらの記録方式にはデータ量が重すぎるという欠点があるのです。

例えばそれぞれの速度を超えると、次の通りのデータ量が凡そ発生します。

  • VPG400:1秒間に400MB/sを超えるので、1時間だと1.44TB以上のデータ量
  • 700MB/s:1秒間に700MB/sを超えるので、1時間だと2.52TB以上のデータ量

両方共に厳しいのですが、特に700MB/sの方は一般的な編集環境では重すぎてまず扱えません。

本当にごく限られた編集環境か、短時間の撮影で静止画の切り抜きに使う程度しか取り扱う方法が無いのが現状です。

 

そのため、ここを踏まえて考えると今の環境ではTypeAで十分とも考えられるでしょう。

そもそも90MB/sしか保証していないSDのV90でさえ一般的な8K動画なら撮影できたりするので、これらはやはり特殊な条件での話になります。

連写時の違い

次に連写時での違いですが、これは残念ながら明確な数値や具体的なことは示せません。

遅いメモリーカードでもバッファが詰まる前提なら高速連写が出来ますし、このバッファの容量も詳しくは分からないなど、出来る出来ないではない上に不明なことが多い為です。

なので、実際の機種で試さない限り確かなことは言えません。

 

さらにはTypeAとTypeBの両方に対応した機種が無いので、どう比較するかも悩ましいです。

両者の差はかなり微妙なので、処理装置、センサー、画素数など、どこで発生した差か分からなくなってしまうでしょう。

 

ただ、それでは議論が進まず検討の素地が出来ないのであくまで理論上の話として考えてみます。

 

そこで重要なのが、カメラの本体性能によってもメモリーカードへと書き込める秒間のデータ量も変わることです。

これは特に厄介な問題で、現時点では多く見積もっても秒間1GBは超えてはいないとされます。

このことはレビューや仕様からの推測などで同様に示されており、詳しい数値までは不確かなれどほぼ間違いないです。

例えばメモリーカードの速度からしてまだ余裕があるデータ量にも拘らず、連写速度が低下したりバッファが詰まったりすることが報告されています。

この場合、やはり問題は少なくともカメラ本体側にあると考えるのが自然です。

 

また、あるメーカーや機種が余りに突出した性能を持つことも考えにくいので全体的に当てはまるでしょう。

そのため、そもそもTypeBの実力を十分に発揮できない環境にあると考えられます。

 

ただ、最低持続書き込み速度をより速く出来るなどのTypeBの優位性により、条件によっては差が生まれるかもしれません。

つまり、連写し続けるとデータを書き込み続けるのでやはり速度の低下が起き、この速度が速いと次の様な利点が生まれると考えられます。

  • バッファが一杯になってしまうまでの時間が延びる
  • バッファが一杯になってから空になるまでの時間を短縮できる
  • そもそもバッファが一杯にならず連写し続けられる

しかし、TypeAでもかなり速い速度を維持できる為に条件は極めて限られると推測されます。

例えば、高画素機の非常に重い記録形式で秒間10コマを超える様な連写をある程度の時間し続けるといった場合です。

つまり、限られた条件な上に出来る出来ないの二者択一ではありません。

そのため、使い方によっては差を感じられず無いに等しくもなるでしょう。

取り込み時の違い

最後に取り込みが完了するまでの時間の違いですが、これもかなり悩ましく思えます。

なぜなら、取り込み時間は3つの中でも周辺機器の影響を特に受ける為です。

 

まず取り込み時間では大きく分けて次の3つの速度性能が関係しており、その中で最も遅い速度に合わせられることになります。

  • データを送る側のストレージの性能(CFexpressはこれに該当します)
  • データを取り込む側のストレージの性能(パソコンのストレージや外付けSSDなど)
  • 両者をつなぐ接続規格(USB3.2 Gen2やThunderbolt3など)

つまり、いくらTypeBが速くとも残り2つの性能によってはTypeAと差が無くなってしまうのです。

 

中でも、一般に普及するカードリーダーや外付けSSDなどではUSB3.2 Gen2により接続するものが多いことが足かせになります。

このUSB3.2 Gen2は理論値で10Gbps(=1.25GB/s)、実際には大体1GB近辺しか出せません。

カードリーダーや外付けSSDの性能によっては、それより遅くなることもよくあります。

 

そのため、このUSB3.2 Gen2を採用する機器が間に挟まるとTypeBとTypeAの差がかなり縮まってしまうのです。

全く無いわけではないのですが、そこそこ大きなデータ量でないと感じにくいかと思います。

 

もちろん、USB3.2 Gen2×2を使用した外付けSSDなどさらに速い機器もあるのでより明確な差が出る環境を整えることも可能です。

ただ、TypeAでも速いのでそれ以上を求めた時の費用対効果を考えると悩ましいかもしれません。

 

結局、この点もどこまで快適性を追求するかの話なので意見が分かれるかと思います。

今の環境がどれ位かやどれ程の予算を充てられるのかなどで、話は大きく違ってくるでしょう。

 

これがUHS-IIとの比較なら一般的な環境でも差が出易いので分かり易いのですが、どうにも条件が絞られ過ぎです。

それこそUSB 3.2 Gen1を採用した機器でも理論値は5Gbps(=625MB/s)あるので、HDDでなければそれなりに差を体感できるでしょう。

PCIe4.0世代の登場からみる将来像

ここまでは現環境を中心に考えてきましたが、ここからは少し先の将来に関わるPCIe4.0世代のCFexpressについて考えてみます。

 

現行のCFexpressはPCIe3.0世代なので、丁度一つ先の世代です。

これによりレーン数当たりの速度の理論値が倍になるので、TypeBは約4GB/s、TypeAは約2GB/sとかなり速くなります。

 

しかも、この世代が登場するのはそう遠くは無いかもしれません。

なぜなら、この世代のデモ機が先日開催されたCP+でExascendにより展示され、2023年前半にTypeA、TypeB共に登場する予定だそうです。

【CP+2023】高速な記録メディアが続々登場。ラベルがほぼ真っ白なSDカードも - デジカメ Watch

 

正直、この発表はかなり意外でした。

技術的な問題はともかく、それ以上に実現する意味や需要が今はまだ無いと思っていたからです。

先程の通り現環境ではTypeAでも十分すぎる性能で、TypeBに至ってはただ過剰性能になるだけと考えられます。

むしろ消費電力や熱問題など、余計な問題が増えるかもしれません。

 

ただ、TypeAの場合は極限的な部分まで賄える性能を手に出来る可能性もあるでしょう。

つまり、現環境下でPCIe4.0世代が普及すれば両者の差が実質的にほとんどなくなってしまうかもしれません。

 

もちろん、近々登場するといっても直ぐにこの世代のCFexpressが普及することはないでしょう。

先の消費電力や熱問題もありますし、カメラ本体側がどう対応するのかまだ分かりません。

 

さらに、その間にカメラや周辺環境の性能が進歩していくことも考えられます。

カメラの本体性能では、例えば次のオリンピックイヤー辺りにて発表されるフラグシップが大事な試金石です。

ここで書き込み速度がどの程度向上するのか、これは今後4年間の指標になると考えられます。

また、周辺環境で注目したいのはUSB4世代の普及です。

これを採用した外付けSSDやカードリーダーが一般化すれば、取り込み時の環境がぐっと向上するでしょう。

一方で、動画撮影時の重すぎるビットレートは簡単には解決しそうにありません。

ここでは編集環境をどうにかするより、圧縮技術の向上などして軽くする方が良いのではないかと思います。

 

こうしたことから考えてみると、カメラや周辺環境の向上とPCIe4.0世代の普及はそれほど時間を空けずに進むかもしれません。

つまり、今後ともTypeAが必要十分な性能でTypeBはやや過剰な性能という傾向がしばらく続くと予想されます。

 

さらに、CFexpressにはPCIe5.0など次の世代への更新も可能性としてはあるのです。

それが実現しどう影響するのかは先の事過ぎて分かりませんが、今回の発表によりその道筋がより具体性を帯びてきたのではないかと思います。

「現時点では」をどう考えるか

さて、先程までは規格で定められている動かない部分を考えていたのですが、現実的にはTypeBとTypeAの間にはもっと差がある様に思えます。

例えば次のような点が、TypeBの優位性として挙げられるでしょう。

  • 大容量と速い最低持続書き込み速度の両立
  • 容量当たりの価格

確かにこれらはTypeBの優位性で、1つ目は技術的にも実現し易いとは言えるでしょう。

 

ただ、TypeAでも無理とは限りません。

例えば、TypeAでもソニーからVPG400を満たす640GBなど速くて大容量のもが出始めています。

価格の問題でもTypeBの比べると高すぎる様にも見えますが、一方でV90対応のSDと性能も含めて同一メーカー同一グレードで比べるとそこまで高くはないと言えるかもしれません。

もちろん絶対的には高いですが、それを言い始めたらTypeBもまだまだ高いと言えるでしょう。

 

つまり、これらは「現時点では」と但し書きが付くより不確定要素の多いものと考えられます。

将来的にどの程度変わるかは不明なものの、改善していく可能性は十分にあるのです。

しかも、CFexpressがより一般化するまでにはまだ時間が掛かるでしょう。

 

なので、やはり重視すべきは規格で定められ変わり難い通信速度や大きさの方だと思います。

静電気とか言われるけど

TypeBとTypeAの違いとしてたまに言われるのが、静電気への耐性を始めとした信頼性です。

ただ、これについては規格よりも結局はメーカーやどのグレードを選ぶのかが重要と言えます。

 

まず静電気は、TypeAがSDと同じく端子が露出した形状故に指摘されることが多いかと思います。

確かにかつてのSDは静電気に弱いものも多かったのですが、現在はだいぶ強くなっていて普通に使っている分には壊れることが少なくなっています。

これは、静電気に対する保護回路がTypeAやTypeBを含め最近のメモリーカードの多くで採用され対策されている為です。

もちろん全てがそうとは限らない為、信頼できるメーカーを選ぶことや対策済みか確認することが大切なのは言うまでもありません。

 

ちなみに、TypeBでも端子部分が開いているので静電気が飛ぶ可能性は考えられます。

例えるなら当たり判定が狭くなっているだけなので、やはり保護回路を搭載することが重要です。

 

また逆にTypeAがTypeBよりも信頼性で有利な面もあり、例えば防塵防滴性では優位と言えます。

これはTypeAが密閉された構造なので異物がついても拭けば済むのに対し、TypeBでは端子部分に異物が入り込むと除去し難い為です。

 

要するにTypeAでもTypeBでも気をつけなければいけない弱点がある為、どちらが優れているとは断じられるものではありません。

なるべく丁寧に扱うこと、信頼できる製品を選ぶこと、これらの方がまず基本であり肝心です。

先程挙げた利点も、選ぶものによっては活かされないこともあるので注意してください。

 

結局、熱問題も含め信頼性に関する問題はTypeAやTypeBの規格上の優位性だけでは実際の所まで決まりません。

採用する機器との兼ね合いや、それらを手掛けるメーカーの技術力などによって大きく左右されるでしょう。

システムとしての合理性や利便性

メモリーカードを分ける理由は、やはり上で述べた速度による所が一番大きいかと思います。

一方で分けない理由としては、システムとして合理的であり利便性が高いことから次の様な利点が生まれることです。

最近は動画や静止画の両方を撮ったり撮影目的が多様化したり、カメラ選びでの流動性が上がっていたりします。

例えば動画と静止画のそれぞれに適した機材を組み合わせることや、連写性能を重視した機種から高画素機への買い替えなどです。

その様な時に、メモリーカードをその都度新た用意するのは手間や費用の面から出来れば避けたい事態でしょう。

 

他にも複数の機材を併用する場合では、メモリーカードが壊れたり紛失したり不足したりした際に代用することも考えられます。

あるいは、誰かにメモリーカードを渡さなければいけない時にそれを使っていない事態を減らせるかもしれません。

 

もちろん、機材の性能を最大限発揮させることやメモリーカードの寿命からも、新しいカメラには新しいメモリーカードが理想的なのは間違いありません。

しかし、昨今のカメラはそれだけでも高く加えてメモリーカードまでとなると流石にしんどいのが現実かと思います。

 

また、カードリーダーなど周辺機器をそれぞれ用意することも同様に手間です。

外に持ち運ぶことも考えると、特にカードリーダーは一つに絞りたいものの筆頭でしょう。

 

この様にシステムを1つのメモリーカードで統一すると様々な利点が生まれ、カメラの使い勝手に大きな影響があります。

それこそ、先の速度による利点よりも大きいとも考えられるかもしれません。

 

なお、CFexpress TypeAとTypeBにはアダプターが作れるのでシステムとしての合理性や利便性を追求することも全くの無理ではなかったりします。

つまり、microSDをSDに変換する様にTypeAをアダプターでTypeBにすれば良いのです。

そうすれば、先の極限的な性能を求める人は両方を使い分け、システムとしてまとめたい人はTypeAを基本にアダプターでTypeBを採用した機種に対応すればよくなります。

 

TypeAとTypeBでは基本的に中身の違いはレーン数だけなので、こうした変換も容易なのです。

欠点があるとすれば、アダプターをかませるので多少放熱性が阻害されること位でしょう。

あるいは、アダプターを用意すること自体が手間かもしれません。

 

なので、早期に採用できるならTypeA、TypeBどちらでも良いのが私なりの結論です。

性能面での差も極限の性能にこだわるなら意味があるかもしれませんが、ごく一部の機種以外ではそもそも役立つ可能性すらないでしょう。

システムとして統一することも、アダプターにより使う側である程度は調整することが出来ます。

 

つまり、より大事なのは次の2つです。もしくは、気がかりなこととも言えるかもしれません。

  • SDからの移行する際にユーザー側の負担を最小限にすること
  • CFexpressへの移行をより加速させること

1つ目はこれまでも触れてきた通りですが、問題は2つ目です。

現状SDでも十分な場面が多いのになぜ急ぐ必要があるのか、次はこれを考えていきます。

V90対応のSDを考えるとあまり猶予はない?

さて、ポストSD問題はまだ先のことにも思えますが既にSDには懸念される問題があります。

つまり、先が見えている上に高額なV90対応のSDに頼らざるを得ない状態は最早問題ではないかと思うのです。

 

まず、UHS系のSDはこの前の記事で書いた通り限界が露呈しつつあります。

それを象徴するのがSD Expressの登場で、UHS系ではUHS-III以降がまだ出ていません。

しかも、SD ExpressとUHS-II以降のSDは互換性があるとは言えないのです。

一応、SD Express対応の機器でUHS-II以降のSDも使用できますが、UHS-Iとしか動作しないので本来の速度は出せなくなります。

つまり、SD Expressが普及しても今のUHS-II以降のSDはその価値をかなり失ってしまうのです。

それはCFexpressなら尚更で、基本的にSDとCFは全く関係ありません。

 

もしSD ExpressやCFexpressの登場にまだまだ時間が掛かるのなら、こうした事態もやむを得ないでしょう。

しかし、既にCFexpressの方は普及し始めています。

 

特にV90対応のSDでは、CFexpressよりも費用対効果が悪いとも言える状況になっているのです。

例えばamazonでProGradeの価格を比べてみると、次の様になっています。(2023/3/22時点)

  • CFexpress TypeB COBALT 165GB:27,000円 1GB辺り163.6円
  • CFexpress TypeA COBALT 160GB:38,000円 1GB辺り237.5円
  • SDXC UHS-II V90 COBALT 128GB:19,900円 1GB辺り155.5円
  • SDXC UHS-II V90 COBALT 256GB:37,800円 1GB辺り147.7円

確かに単に1GB辺りの価格を見れば、V90対応のSDがまだ安いかもしれません。

しかしながら、速度性能を含めて考えるとそうとは言い切れない様に思えます。

特に重要な最低持続書き込み速度だと、V90対応のSDでは90MBしか保証されていません。

一方でVPG400対応のTypeAでも400MB、TypeBに至ってはメーカーによると1400MBと桁違いの速度差です。

 

こうした速度差をどの程度価格に対し考慮すべきかは、使い方や考え方で違うかもしれません。

例えばより長く使うなら、やや過剰でも速度性能が良いものの方が不満が出にくいでしょう。

逆に安いカメラなら、無理に高いものを買うのは適切ではないことも多いです。

何れにしても、速度性能が倍以上違うのに比べ価格が倍にはなっていないことから、少なくともV90対応のSDの費用対効果が良いとまでは考えられません。

やはり、費用対効果に優れていると言えるのはV60対応のSDまでの印象です。

 

もちろん、V90対応のSDにはより安い選択肢もあります。

一方でCFexpressにも安価なのも有りますし、それらは大抵V90対応のSDより速度性能が上です。

ただし、記録媒体は記録という極めて重要な機能を担うだけに安ければ良い訳ではありません。

なので、最底辺付近で比較するのは慎重さが求められます。

 

それから、速度性能以外にもSDではいつ採用されなくなるか分からないのも問題です。

特にTypeBでは、前述した通りSDからの移行に難があります。

もし何らかの告知があれば良いのですが、様々な事情が絡むので現実には難しいでしょう。

 

要するに、次の機種でSDが使えないことも想定し購入するしかないのです。

これは高いV90対応のSDでは、特に酷な話ではないかと思います。

やはり各メーカーには、この様な事態を避ける何らかの手立てを考えてくれると有り難いです。

 

例えば、もとよりTypeBを搭載する予定のない機種ではTypeAとSDの両方に対応できるスロットを開発し搭載することも早めに検討すべきでしょう。

これなら、SDを使いつつ価格がこなれてきたらTypeAといった使う側での判断もし易くなります。

また、ダブルスロットの利点を潰すこともありません。

もちろん、全ての機種に搭載するのは価格や大きさの観点から難しいかもしれませんが、CFexpressを採用しやすくする一手として重要です。

 

確かにV90対応のSDまであれば十分な場合が多く、入手性や扱い易さもSDの方が良いです。

そのためCFexpressはまだ先の話にも思えますが、この問題を見るとそうとも限らないのです。

 

そもそも、CFexpresを搭載していればより性能を発揮できたであろう高速連写機や、より快適に扱えたであろう高画素機など、果たして本当に十分なのか悩む場合も既にあります。

これらに何故採用されなかったのか、技術的な理由があまり考えられないだけに余計に疑問です。

 

そして、この問題に対し解決策の1つにもなり得るTypeAの最大の問題である価格について最後に考えてみます。

CFexpress TypeAはどうすれば安くなるのか?

短期間で安くする方法としてまず挙げられるのは、要するにTLCを採用したハイエンドではないTypeAを作ることです。

現在販売されているTypeAは確認した限りほとんどVPG400を満たすことから、多くは高いpSLCを採用したものでしょう。

なので、より安いTLCを採用すればより安いTypeAが作れる可能性があると考えられるのです。

 

欠点とすれば、最低持続書き込み速度が低下することと熱問題が挙げられるでしょう。

それでも、V90対応のSDよりも安くて速くなることも有り得ます。

逆に利点としては、より大容量のTypeAを作れることです。

pSLCの3倍くらいは出来るはずなので、テラバイト級のTypeAも考えられます。

 

ならば何故発売されないかというと、この様な技術的な問題ではなく別の所に問題がある可能性が高いです。

端的に言うと、VPG200が無い為にVPG400で作らざるをえないことが問題と指摘されています。

 

この件に関し、先日ProGrade Digitalの日本代表 大木和彦氏がインタビューでより詳しく答えていました。

「COBALT」と「GOLD」の違いは? メモリーカードでよくあるトラブルとは?…中の人に聞いた「プログレードデジタル」のアレコレ(CFexpress/SD編) - デジカメ Watch

 

要するに、ソニーのカメラではVPG200以上でないと機械的に弾かれて動画撮影が出来ないことがあるのでしょう。

そして、VPG200は今はまだ存在しないのでその上のVPG400を達成せざるを得なくなっていると考えられます。

さらに、ソニー以外にTypeAを採用するカメラは登場していないのでソニーの仕様に合わせないとメモリーカードとして使い物になりません。

 

実際、TypeBではVPG400を達成できてないのも有るのでTypeAでは何故無いのか不思議でした。

しかし、これなら確かにそのことについての説明にもなります。

 

このことから、TLC採用のTypeAが発売される方法として考えられるのはまず次の2つです。

  • VPG200、ついでにVPG100を新たに策定する
  • ソニー機械的に弾く仕様を切れるようにする

まず順当な方法としては、やはりVPG200を策定することでしょう。

VPG65から離れすぎているので、ついでにVPG100も策定するのもありかもしれません。

VPG400と比べるとVPG100は遅くも見えますが、それでもV90対応のSDよりも速いので一般には十分過ぎる性能を持っています。

しかし、この方法はCFなど関係各所が動く必要があるのでいつ策定できるのか分かりません。

 

(2023/5/20追記)VPG130が策定されていることから、VPG100はいらないと思われます。

ただ、それならソニーもVPG200ではなくまずはそれを基準にすれば良いのに不思議です。

 

そのため、手っ取り早いのは機械的に弾く仕様を切れるようにすることかと思います。

これならソニーの一存でも動かしやすいでしょう。

 

なお、この様な言い方をするとVPGが邪魔な規格に思えますが、実際にはそうではありません。

あらかじめ弾いてくれれば、撮影が途中で止まったり、上手く記録されていなかったりする事態を避けることが出来ます。

一々メモリーカードビットレートを調べるのは手間ですし、人が確認するよりもこの方法の方が確実です。

さらにはメモリーカードを選ぶ際の目安にもなり、メーカーが独自に主張する数値よりも信頼性があります。

 

ただ、VPGの考え方が有用でも規格の内容が実情に合っていない為に機能不全に陥っていることが問題なのです。

この問題は将来にも響く可能性があるので、この件に限らず改善した方が良いかと思います。

また、VPGが有用である以上、形骸化させる方法をとるのは得策ではなく避けるべきでしょう。

 

そして、この様に安いTypeAが発売され採用する機器が広がっていけば、その上の高価なものにも波及効果があるかもしれません。

量産効果が真価を発揮するには?

TypeAに限らずCFexpress全体に役立つもう1つの価格を下げる方法として、量産効果があります。

ただ、これには時間が掛かりますし、よくこの効果を指摘されるTypeBでもまだ足りません。

TypeAと比較することで安くも見えてしまいますが、TypeBも絶対的には高いです。

 

例えば量産効果が特に力を発揮したとされるUHS-IのSDでは、スマホによる余りにも膨大な需要が大きく関わっていました。

一方で、その恩恵をあまり受けられなかったUHS-IIのSDでは価格の下落が今一だったりします。

さらに、CFexpressは今の所はカメラ市場のプロ向けを中心とした需要なのでそれらよりも多くは無いと考えられます。

 

つまり、TypeBが安くなっているのには別の理由も絡んでいると考えられるのです。

例えばPCIeとNVMeの採用によってSSDの技術や部品を活用できたことや、XQDの後継規格として初期投資を抑えられたことなどが功を奏した可能性があります。

 

ちなみに、TypeAだとTypeBに比べ登場が2年遅かったことや全く新規だったこと、小型化によって開発費が多く掛かったことなども値段の高さに影響しているかもしれません。

 

要するにCFexpressの量産効果はまだまだそれ程でもなく、その真価を発揮させるにはまだ多くの需要を開拓することが求められるでしょう。

より大きな効果を望むなら、それこそTypeA、B、Cの全てを駆使する必要があります。

つまり、より大きな需要を確保しより大きなスケールメリットを得ることがこの3種類に分かれた最大の理由なのです。

 

今はまだ登場していないTypeCでも、M.2 SSDと同じレーン数を活かして外付けSSDの様な立場を確保できればカメラ以外の需要を掘り起こすことが出来るかもしれません。

 

また、需要の問題からみてもカメラ市場でSDの後継となるのは最低限度の目標と考えられます。

逆に達成できなければ、むしろCFexpressとって致命的な問題になるかもしれません。

まとめ

  • ポストSD問題が根底にあり、SDからの移行をどうするかが特に重要な課題
  • TypeBでは大きさからSDの代わりになるのは難しく、移行も難航しそう
  • TypeBとTypeAでは極限的な条件下で差があるかもしれないが、使う人次第
  • アダプターを使うなどすればTypeAでシステムをまとめることも出来る
  • V90対応のSDは高く先が見えおり、CFexpressの普及をより進める段階にある
  • TypeAの価格を下げるにはVPGの問題を解決することが求められるかも
  • CFexpress全体の問題として、SDの後継になるなどより需要を増やす必要がある

次世代メモリーカードを巡る問題は、結局の所すんなりSDの後継になれる規格が無かったことが最大の要因と考えられます。

 

まず本来の正統な後継規格であるSD Expressは、余りにも大きな大転換を図った為にこれまでのSDとの互換性に問題が生じてしまいました。

その上、カメラのハイエンド市場をCF側に先取されたことも出だしで躓いた要因の1つです。

 

一方でCFは、CFastとXQDを統合する規格としてCFexpressを打ち出し上手くその後を継ぐことが出来たとは思います。

ただ、その後がやはりXQDを直接後継する規格だけに限界がありました。

流石にSDの後継とするには大きすぎたのです。

 

しかも、今は次世代メモリーカードの必要性が一般にはそれ程高まってはおらず、価格や入手性、扱い易さを考えると従来のSDに優位性があることも移行が進まない原因と考えられます。

カメラメーカー側も、この様な実用的な側面を重視する傾向が強いです。

ただ、V90対応のSDだと最早決して安いとは言えず、さらには何れ移行しなければいけないものにこのまま頼り続けることは既に問題でしょう。

このSDの優位性による需要とSDからの移行、これらをどう両立させるかが大きな課題です。

 

例えばTypeBが搭載できないのなら、早期にSDとTypeAの両方に対応したスロットを開発した方が良いかと思います。

これなら先程の課題にも、使う側でSDかTypeAかを選べばよいだけなので応えられます。

また、そうして採用機種が増えていけばメモリーカーメーカー側も動きやすくなるでしょう。

少なくとも、V90対応のSDに大きく依存した機種は減らしていくべきです。

 

さらに、これは結局TypeAだけでなくCFexpress全体の利益につながります。

例えばCFexpressの価格がより下がることも考えられますし、普及もさらに進むでしょう。

なので、ここはまずカメラメーカー側からもう少し積極的にCFexpressの普及に向けて考え動いて欲しいです。

 

メモリーカードはカメラの記録を担う上で特に重要な道具ですが、カメラやレンズとはまた違った立ち位置に感じられます。

こだわりたいのはそれらで、どちらかと言えばメモリーカードは二の次になりがちなのです。

なので、気軽に考えても良いものが選べる安定した状況を作る為にCFexpressにはこのまま早めにその立場を確立してくれればと思います。