滋賀ほど個性的な地勢は、他にないのではと思うことがあります。
これは、特に全県的な視点で眺めた場合に言えるでしょう。
まず、滋賀県は真ん中の琵琶湖と注ぎ込む川により県全体が繋げられています。
その上、周りを山に取り囲まれることで県全体がひと固まりに区切られているのです。
要するに滋賀県を概観してみると、琵琶湖の周りを細い平野が巡り、さらにその周りを山が囲む、同心円状の構造なのです。
しかも、この構造を維持する湖と山は県内外の交流をそれ程困難にはしない、緩めの隔たりなのがより面白くしています。
つまり、地域の個性を確立しつつも他の様々な影響も取り入れられるのです。
そして、この様にして育まれた多様性が1つの構造に上手くまとまる滋賀はやはり小宇宙と言えるでしょう。
また、南北で次元が違うと言わしめるほど気候の差によって個性に更なる磨きがかかっています。
さらに、この滋賀の日本列島上における位置も実に良い効果を生み出しているのです。
簡単に言うと、歴史的に長く都のすぐそばにあり、日本海と太平洋が最も接近する列島のくびれに位置しています。
そのため、都や北陸、東国など外からの影響も本当に多彩です。
この様に滋賀の地勢は実に特徴的で、文化や歴史を学んでいるとこの地勢の影響を受けたのではと思えることがしばしばあります。
例えば、滋賀は歴史的に中心地と言える場所が分かりづらいです。
滋賀県全土の頂点に君臨する、あるいは他より明らかに抜きんでている地域が見当たらないように思えます。
少なくとも、平安京や南都などの様にはっきりとは見えないのです。
もしかすると、こうなってしまう要因の1つが同心円状の構造にあるのかもしれません。